小惑星2011 UL21(別名415029)は協定世界時(UTC)6月27日午後8時16分(日本時間6月28日午前5時16分)に、地球から約660万kmの距離まで最接近して通過した。これは月までの距離の約17倍に相当する。
2011 UL21は、直径が約1.5kmで、接近前に予測されていたよりもやや小さかった。地球近傍天体(NEO)の探索を主な目的とする、NASAが出資する全天サーベイ観測プロジェクトのカタリナ・スカイサーベイで2011年に発見された。
脅威とはならない
NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、今後の軌道を計算した結果、予測可能な将来において地球への脅威とはならないことが明らかになっている。今回の驚くべき画像は、NASAの深宇宙ネットワーク(DSN)の拠点の1つ、カリフォルニア州バーストー近郊にあるゴールドストーン太陽系レーダー(GSSR)の口径70mの電波望遠鏡によって得られたものだ。観測チームは、電波望遠鏡を用いて小惑星に向けて電波を発信し、反射された信号を受信することで、2011 UL21が球状であることや、「小衛星」を伴っていることなどを明らかにした。
二重小惑星系
今回の観測に参加したJPLのプリンシパルサイエンティストのランス・ベナーは「このサイズの小惑星の約3分の2は二重小惑星系だと考えられている。今回の発見が特に重要である理由は、二重小惑星の相対位置の測定値を用いて、相互軌道、質量、密度などを推定できるからだ。これらの推定値は、小惑星がどのようにして形成された可能性があるかに関する重要な情報を提供する」と説明している。JPLの地球近傍天体研究センターによると、2011 UL21の接近通過は、過去124年間に地球から約750万km以内を通過した小惑星としてはトップ10に入る巨大小惑星の接近現象だったという。
2番目の小惑星
NASAは同じ観測で、2011 UL21の次に地球に接近通過したもう1つの小惑星2024 MKの姿も捉えることに成功している。6月16日に発見されたばかりの2024 MKは、協定世界時(UTC)6月29日午後1時50分(日本時間6月29日午後10時50分)に、地球からわずか約29万5000kmの距離まで接近した。これは月までの距離(約38万km)の約4分の3でしかない。だが直径は約150mで、はるかに小型だった。2024 MKのレーダー画像では、直径約10mの巨岩や凹地や尾根などが見られる小惑星表面の詳細な状態が明らかになった。
2024 MKほどの大きさの地球近傍天体がこれほど地球の近くまで接近するのは、発生頻度としては数十年に一度程度だ。「今回は地球近傍小惑星の物理的特性を調査し、詳細な画像を取得するための絶好の機会だった」と、ベナーは述べている。
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