さらにケースを裏に返せば、ケースバックには、アポロ8号が月の裏側に入る直前、司令船操縦士だったジム・ラヴェルが地上管制官に告げた名言”WE’LL SEE YOU ON THE OTHER SIDE(あちら側でまた会おう)”とのメッセージが。偉大な先人たちの勇気ある挑戦を手の中で実感できる、希少かつユニークなタイムピースです。
このころ打ち出されたキーワードが、「Bicycle for the mind(知の自転車、知的自転車)」という言葉だった(「Wheels for the mind」と表現されることもあった)。人間は自転車のペダルをこぐことで自らの力を増幅し、目的地まで速く短時間で移動できる。これと同じように、人間の能力やクリエイティビティを拡張するデバイスとしてMacintoshを位置づけていたわけだ。
特にデザイナーやクリエイターたちに注目されたMacintoshは、印刷物を画面上で制作するDTP(Desktop Publishing)や、画面で見たものをそのまま出力できる「WYSIWYG(What You See Is What You Get、ウィジウィグ)」といった概念を一般に広めていった。そうした概念は、のちにアドビの「Adobe Photoshop」をはじめとする一連のデザイン用ソフトウェアの誕生にもつながっている。マイクロソフトの「Microsoft Office」が現在のように複数のソフトウェアをセットにして販売されたのが、実は89年に発売されたMacintosh用が最初だったことも、こうした流れを象徴していると言っていいだろう。
Photograph: Jean Bernard Vernier/Sygma/Getty Imagesアップルの「Macintosh LC II」(1992年発売)。高価だったMacintoshのラインナップにおいて、低価格モデルとして投入された「LC」シリーズのひとつ。LCは「Low-cost Color(低価格でカラー表示)」の略とされている。
Photograph: Danamania/Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0アップルの「PowerBook 100」(1991年発売)。MacintoshのノートPC版として最初に投入された「PowerBook」シリーズのなかで最も小型軽量(約2.3kg)だった。設計と生産をソニーが手がけたことで知られている。
Photograph: Wikimedia Commons, CC BY-SA 2.5アップルの「Quadra 610」(1993年発売)。「Quadra」シリーズはPowerPCを採用する前のフラッグシップで、600番台はローエンドモデルの位置づけだった。この筐体は「ピザボックス」とも呼ばれ、のちに「Power Macintosh 6100」シリーズ(1994年発売)へと進化している。
Photograph: Wikimedia Commons, CC BY-SA 2.5アップルの「Power Macintosh 8100/80AV」(1994年発売)。プロセッサーとして「PowerPC」シリーズを搭載したモデルに「Power Macintosh」の名称が与えられた。「8100」シリーズは上位モデルで、「AV」は映像の入出力端子を備えるなどビデオ編集用途を訴求していた。