Research Press Release
Nature Geoscience
2023年5月2日
Ecology: Mosses maintain health and functioning of global soils
全球のコケの調査から、コケは露出した土壌よりもおよそ6.4ギガトン(64億3000万トン)多くの炭素を隔離する可能性があることを報告する論文がNature Geoscienceに掲載される。この発見は、全球の土壌へのコケの重要な生態系の公益的機能に対する全球規模の証拠を初めて提供し、この小さな植物を保護する必要性を強調するものである。
コケは砂漠から北方林および北極域まで広く存在している。土壌の機能と生物多様性に重要な役割を演じることが知られている維管束植物(茎、葉および根を持つ植物)と比べると、コケが全球規模で土壌の生物地球化学的性質と生態系サービスにどのようにして、またどこまで寄与しているかはほとんど分かっていない。
Manuel Delgado-Baquerizoらは、気候(例えば、熱帯、乾燥および極域)、植生(例えば、森林、草原および荒地)および土地管理状況(都市と自然を含む)の一定の範囲を含む、全ての大陸と123の生態系から収集した試料を用いて表土中のコケを全球規模で調査した。彼らは、コケは、調査した環境で、カナダや中国と同じ面積となる940万平方キロメートル以上を覆っていることを発見した。著者らは、8件の生態系公益機能と関連がある24の土壌機能属性を調べ、コケは、植物の生えていない土壌と比べるとより多くの栄養素循環、有機物分解、および植物病原体防除と関連があると示唆している。著者らは、露出した土壌と比べると、土壌のコケは土壌層内に6.4ギガトン多く、炭素を隔離する可能性があることを見いだした。
著者らは、土壌のコケが正の生態系機能を持つことは、土壌の温度や湿度などに作用することで地表の微気候に影響を与えることが関係していると示唆している。彼らは、この発見が、健康な土壌を維持する上でこの重要な植物を保護する必要性を強調するものであると結論付けている。
doi:10.1038/s41561-023-01170-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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