大統領選挙があった2016年、トランプ大統領が払っていた税金は750ドル(約7万9000円)だった――。
長年議論になってきたトランプ大統領の納税額を巡り、ニューヨークタイムズが大統領が過去20年ほとんど納税してこなかったとするレポートを掲載した。
この金額は、ニューヨークタイムズが独自に入手した、過去20年以上に及ぶ納税申告書のデータから明らかになったものだという。
「トランプオーガニゼーション」で不動産開発やリゾート経営など様々な事業を経営し、億万長者と名乗ってきたトランプ大統領。これまで、多額の納税をしていると主張しながら、その額を公開してこなかった。
しかし、ニューヨークタイムズが9月27日に掲載したレポートには、大統領が経営で損失を出し続け、何年にも渡って税金の支払いを逃れようとしてきたと書かれている。
リポートによると、2016年だけでなく2017年に払った連邦所得税も750ドルだった。またその前の15年のうち10年は、支払っていなかった。2018年と2019の納税額については書かれていなかった。
多額の収入がありながら納税額を抑えられたのは収入より損失が大きかったためで、様々な方法で税金の支払いを逃れをしようとしたという。ニューヨークタイムズは次のように伝える。
「損失を計上する一方で、トランプ大統領は贅沢なライフスタイルを謳歌してきた。多くの人たちが個人支出だと考える、居住費や航空費、7万ドルにもなるテレビ出演のためのヘアスタイル費用などを控除してきた」
ニューヨークタイムズはまた、娘のイヴァンカ・トランプ氏が、納税額を減らすための“コンサルティング費用”を受け取っていたとも報じている。
現在行われている会計監査によっては1億ドルの追徴課税もあり得るという。
大統領は否定
この報道について、トランプ大統領は27日に開かれたホワイトハウスの記者会見で、「完全なフェイクニュース」と反論。「私は税金を払っている。それは納税申告書が戻り次第わかるだろう。納税申告書は会計監査中だ。かなり長い間、監査を受けている」と述べた。
Joshua Roberts via Getty Images
その一方で、納税額の詳細や公開予定日については明らかにしなかった。
また、トランプオーガニゼーションのアラン・ガーテン弁護士はニューヨークタイムズの取材に「全てではないにしてもほとんどの事実が不正確だ」「トランプ大統領はこの10年、何千万ドルの個人所得税を連邦政府に収めてきた」と答え、報道を否定している。
トランプ氏の過去の納税については、民主党員や一部の共和党員たち、そして多くの一般市民が納税申告書の公開を要求してきたが、大統領は公開してこなかった。
大統領や大統領の弁護士はフェイクニュースだと否定しているものの、大統領選挙を1カ月後に控え、今回の報道は「やり手で愛国心の強いビジネスパーソン」アピールしてきたトランプ大統領にとって、痛手となる可能性もある。
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