とある美術教師による初著書にもかかわらず、各界のオピニオンリーダーらやメディアから絶賛され、発売3ヵ月で5万部超という異例のヒット作となった『13歳からのアート思考』。 先行きが不透明な時代だからこそ知っておきたい「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出す思考法とは? 同書より一部を抜粋してお届けする。 ● じつは見えていない―「窓」と「床」の思考実験 前回は、第一次世界大戦の直前にアメリカで生まれ、ニューヨークで活動したアーティスト、ジャクソン・ポロックの《ナンバー1A》という作品がどんなふうに描かれたのかをご紹介しました。 しかしこの絵、見れば見るほど、不思議です。なぜこんな絵に数百億円の値がついたのか、ちょっと理解に苦しむというのがみなさんの本音ではないかと思います。 さて、ポロックがどのような探究をしていたのかに迫っていく前に、ちょっとした体験をみなさんと共有しておきたいと思います。ちょっとした気分転換にもなるはずですので、ぜひやってみてください。 まずは、5秒間ほど「窓」に目を向けてみてください。 心のなかで5つを数えてみるのもいいでしょう。 さあ、「窓」を見てみましょう。
さて、今度は「床」に目を向けます。 「床」を見ながら、5秒数えてください。 では、どうぞ! ありがとうございました。「窓」と「床」を見ていただきましたが、もちろんこれは、単なる目のリラクゼーションではありません。 まず振り返っていただきたいのは、「窓」を見たときのことです。 「窓」に目を向けていたとき、あなたの目にはなにが映っていましたか? 空、雲、風に揺れる木々、隣に建つ家、ビル、通りを歩く人……おそらくあなたが見ていたのは「窓の向こうにある景色」だったはずです。 私は「『窓』を見てください」といいましたが、「透明な窓ガラス」という「窓そのもの」だけを見つめた人はいないだろうと思います。 アート作品のなかでも、絵画はまさにこの「窓」に似ています。 絵画を鑑賞するとき、私たちはその絵を通して、そこに描きこまれている「イメージ」を見ています。 「窓を見てください」といわれて、「窓ガラス」を見る人がまずいないのと同じように、「絵を見てください」といわれて、壁にかけられた物質としての「絵そのもの」に目を向ける人はなかなかいません。 ちょっと難しい話になってきましたので、具体例と一緒に考えてみましょう。 ルネ・マグリット作になる《イメージの裏切り》という作品をご存じですか? この1枚の絵に目を向けるとき、私たちは「パイプ」という「イメージ」を見ています。 しかし、そのイメージは私たちの頭のなかにあるものでしかなく、「架空」の存在でしかありません。 イメージとしてのパイプが「架空のもの」でしかないのだとすると、「現実」にあるのはなんなのでしょう? いま、あなたの目の前にあるのはなんですか? この文章を「PC」や「スマートフォン」で読んでいる方であれば、「一定の色彩パターンで光っている液晶画面」といったところでしょうか。もしも印刷して読んでいるのであれば「一定の配列のインクに覆われた紙」という答えになるでしょうし、美術館でこの絵画の実物を鑑賞しているのなら、「ある配列の油絵具で覆われたキャンバス」になるでしょう。 じつはこのマグリットのパイプの絵は、こうした事実を皮肉った作品です。絵のなかに書き込まれている「Ceci n’est pas une pipe.」は「これはパイプではない」を意味するフランス語です。この絵は「パイプのイメージ」である以前に、「3次元の物質」です。現実に存在しているのは、そうした物質にほかなりません。 しかし面白いことに、私たちがこの作品を見ているとき、「キャンバスと絵の具」とか「紙とインク」といった物質は、「窓」のように「見えない」存在となり、完全に姿を消しています。 このとき、「そこに絵の具が貼りついたキャンバスがある」という「現実」は背景に退き、私たちにはパイプの「イメージ」のほうが「見える」ようになっているのです。
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June 19, 2020 at 02:01PM
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じつは誰にも見えていない「絵画」の本当の姿(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
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