一般の人でも人工衛星「EYE」のカメラを使って宇宙から見た地球や遠い宇宙の写真を撮影できる──ソニーと東京大学、JAXAが共同で進める「STAR SPHERE」は、そんな夢のあるプロジェクトだ。1月17日には実際のサービスの概要と、体験者の募集を2月に始めることが発表された。
今回は、事前に行われたメディア向け体験会をもとに撮影手順やEYEの状況、そして実際に撮影した写真を紹介したい。
EYEのカメラの性能は?
EYEは、ソニーが開発した高感度カメラを搭載した小型の人工衛星だ。本体はわずか100×200×300mm。このサイズに約1200万画素のフルサイズセンサーのカメラと28-135mmのズームレンズ(F4)、太陽電池パドル、推進器(スラスタ)、オンボードコンピューターなどを詰め込んでいる。
レンズのスペックから想像できるように、超望遠ズームを搭載した地球観測衛星のような地上の建物まで判別できる写真は撮れない。ソニーによると、分解能は直下を見た場合でも数十m程度という。イメージとしては、「旅行で宇宙ステーションに行って、自慢のデジ一眼で地球を撮影した」といった感じだろう。
ソニーが提供する「宇宙撮影体験」では、ビデオ会議でナビゲーターからアドバイスを受けながら、Webブラウザで使える撮影シミュレーター「EYE コネクト」で撮影する場所を選べる。私は当初「東京スカイツリーを撮りたい」と無謀な注文をして担当者を苦笑いさせてしまったが、説明の中で「小さいけれど映るかも」と言われた富士山にターゲットを変更した。とりあえず日本列島は写ると思った。
もっとも、EYEは高度約500kmを1周約95分という速度で回っているため、「富士山を撮りたい」といってもすぐに撮影できるわけではない。EYE コネクトで撮影場所を設定すると、EYEが日本周辺を通る撮影日時の候補がリストアップされる。その時のEYEの軌道も分かるため、意図に沿った撮影ができそうな日時を選択する。
撮影場所や日時が決まると、その情報を地上局からEYEに送信し、指定した日時に自動で撮影される。だから撮影した写真が届くのは後日だ。実際のサービスでは、EYEが撮影した複数の画像のサムネイルをみて、ダウンリンク(衛星からダウンロード)するものを選べるようになるという。
体験会を通じて分かったのは、狙った通りの写真が撮れるかは設定と運次第ということ。今回のように撮影時間に雲が出ていたりするのはもちろん、画角(衛星の姿勢)がズレたり、露出が合わないこともある。
例えば焦点距離28mmの時に10度ずれていると画角は水平方向で20%弱、垂直方向で20%もずれてしまう。だからズーム撮影はより高リスク。ソニーの担当者は「ズレも含め、何が写るかを楽しんでほしい」と話している。
からの記事と詳細 ( 人工衛星「EYE」から地球を撮影してみた 思わぬ写真が撮れた - ITmedia NEWS )
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