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Tuesday, January 31, 2023

【レビュー】 Kindle Scribe、Kobo Elipsa、BOOX Tab Ultraの「手書きノート機能」を比較する - PC Watch

今回比較するE Ink端末。左から、Kindle Scribe、Kobo Elipsa、BOOX Tab Ultra。いずれも10型クラスの大画面を備える

 2022年11月に登場したKindleの大画面モデル「Kindle Scribe」には、電子書籍を読む機能に加えて、電子ノート機能が搭載されている。スタイラスペンを用いての手書きを可能にするこの機能は、日常の手軽なメモやスケッチはもちろんのこと、授業や会議でノートを取るなど、幅広い用途に活用できる。

 こうした電子ノート機能は、今回のKindle Scribe以前にも、楽天Koboの10.3型E Ink端末「Kobo Elipsa」にも搭載されている。またGoogle Playストアが利用できるAndroidベースのE Ink端末「BOOX」シリーズの多くの製品にも、同様の機能が搭載されている。富士通のクアデルノのような電子ノート専用機と異なり、付加機能として提供されているのが相違点だ。

 ひと口に電子ノートといっても、ある製品では当たり前の機能が、別の製品では影も形もないことはよくある。今回はこれらE Ink端末の電子ノート機能を比較し、具体的にどのような機能があるのか、何に重きを置いて選べばよいのかをチェックしていく。デバイスそのもののレビューは過去の電子書籍端末連載に掲載されているので、併せて参照してほしい。

かなり差がある外部への書き出し機能

 ノートを外部にエクスポートする機能は、各製品の個性が出るところだ。

 Kindleはクラウドでノートが自動的に同期されるので、わざわざエクスポートを行なわなくとも、スマホやタブレットのKindleアプリ上でノートを参照できる。またPDFに変換してクラウドにアップロードし、そのリンクをメールで送ることで、PCなどでダウンロードすることも可能だ。サードパーティのサービスには一切対応しないが、使い勝手はシームレスで、Kindleを活用している人はすんなり使えるだろう。

 Koboは、PDFだけでなくPNGやJPEG、さらに多機能ノートではWordやテキストにも対応するなどフォーマットを自由に選択でき、また書き出し先にDropboxを指定できるなど、汎用性は非常に高い。自動同期の仕組みがないのでバックアップとして使えないのは惜しいが、全体的にはよくできている。Kindleと違い、自社の電子書籍をクラウドで同期する仕組みとはまったくの別物なのが興味深い。

 BOOXは、DropboxやEvernote、OneNoteとの自動同期に対応している。BOOXシリーズはもともとGoogle PlayストアからAndroidアプリを自由にインストールできるのが売りで、共有機能を使えばほかのクラウドストレージへの手動書き出しも行なえる。またAndroidゆえ、ニアバイシェアを使っての送信も可能だ。ちなみに手動同期にも対応しているが、これはOnyxアカウント限定となる。

Kindle Scribe Kobo Elipsa BOOX Tab Ultra
同期 Kindle経由でのiOS/Androidアプリとの自動同期 - Dropbox、Evernote、OneNoteなど
手動同期はOnyxアカウントのみ対応
エクスポート先 Kindleに登録されたメールアドレス
任意のメールアドレス(最大5個まで追加可能)
後者はメール添付ではなくAmazonのサイトからのダウンロード
PC(有線接続)、Dropbox 共有機能を使っての各種アプリへのエクスポートが可能。ニアバイシェアにも対応
エクスポート形式 PDF 無地ノートではPDF、PNG、JPG
多機能ノートではWord、テキスト、HTML
ページ単位もしくはノート単位を選択可能。後者の場合はZIPで出力される場合あり
PDF、PNG
PDFはビットマップとベクターを選択可能

まとめ

 以上、いくつかのカテゴリに分けて機能を見てきたが、この3製品の中でもっとも優秀なのはBOOXだろう。ペンの太さが25種類、色と濃度は16種類と豊富で、多すぎて選びづらくなりそうなところ、それらの組み合わせをプリセットとして登録しておける機能があるなど、使い勝手にも配慮されている。アイコンがあまり直感的でなく、どこにどの機能があるか覚えるのに時間がかかるのが、欠点といえば欠点だ。

BOOXは多くのモデルが電子ノート機能を搭載している。右は13.3型モデルの「BOOX Tab X」

 Kindleは電子ノートとしては最小限の機能しかないので、電子ノートの利用経験がすでにあるユーザーの移行先としてはお勧めしないが、シンプルなぶん使い方をすぐに覚えられる上、レスポンスそのものは高速なので、使い勝手は悪くない。単体の電子ノート専用端末として売られているならまだしも、電子書籍端末の付加価値としては十分だろう。個人的には8型クラスの手書き対応モデルの登場に期待したい。

Kindleは電子ノートとは別に、スタイラスを使って電子書籍にハイライトや付箋を追加できる機能を備える。デバイス的にはむしろこちらがメインだ

 Koboは数式変換やテキストOCRなど目を引く機能はあるのだが、ノートの並び替えや分類といった管理機能が弱かったり、タイトルを入力しないと新規作成画面が開けなかったりと、使い勝手に難がある。「Kobo Elipsa」は2022年12月にホームページで完売が告知されており、これら電子ノート機能が使える現行モデルは現時点で8型の「Kobo Sage」だけとあって、今後に大きな期待がかけにくいのもマイナスだ。

Kobo Elipsaが完売したことで現行の手書き対応モデルは8型の「Kobo Sage」だけとなった

 といった具合に、ひと口に「電子ノート機能」といっても、できることは製品によってまったく異なることが分かる。今回は試していない富士通のクアデルノや海外で著名な「reMarkable」のような電子ノートの専用機も含め、E Inkデバイスに手書きノート機能が搭載される例は今後も増えてくると考えられるが、機能は千差万別、ピンからキリまであることは、知っておいたほうがよさそうだ。

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