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Monday, January 30, 2023

少年ミイラの秘密がCTスキャンで明かされる。おそらく富裕層です - GIZMODO JAPAN

少年の死を悼む気持ち、2,300年前も今も変わらない。

今から100年以上前、エジプトのNag el-Hassayの地で10代と思われる少年のミイラが発見されました。今もその亡骸は棺に入れられたまま、陽の光を浴びたことはありません。そんななか、今回研究チームがCTスキャン技術を駆使してその中身を覗くことに成功。少年の遺体と副葬品のアミュレット(お守り)49個が発見されました。

この少年ミイラはカイロから約800km南にあるプトレマイオス朝の墓地で眠っており、約2,300年前の遺骨であることがわかっています。研究チームがCTスキャンを行ったところ、少年の生前の健康状態の詳細も明らかに。この研究成果は、先日発行された『Frontiers in Medicine』に掲載されています。

ツタンカーメン王と同様、このミイラも社会的・経済的地位の高い男性で、若くして亡くなっています。ちなみに身長は約127cm(現在の日本の15歳男性平均身長は168cm)。

少年が高い社会階級に属していたことは、その豪華な埋葬品を根拠に推測されました。彼が金色のフェイスマスクをしていることから、つけられた愛称は「ゴールデン・ボーイ・ミイラ」。

ミイラの体の内外からは21種類のアミュレットが発見され、そのうち30個はなんと黄金で作られていました。かなりラグジュアリーです。興味深いのは、これらのアミュレットが体の特定の部位に置かれていること。たとえば口の中には黄金の舌の形をしたアミュレットが埋められており、「あの世でもおしゃべりできるように」という願いが込められていると考えられています。また、男性器の横には2本指をかたどったアミュレットが置かれ、研究者は「エンバーミング(遺体防腐処理)の傷口を隠しているのでは」と推測しています。

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
石棺の中から発見されたミイラ

今回の論文を手がけたカイロ大学のSahar Saleem氏は、「ミイラを包む布の”ひだ”の間とミイラの体腔内には、49個のアミュレットがユニークな3列の美しい様式で、広範囲にわたって飾られていた」と話しています。「ミイラを作った人たちは体を保護し、死後の世界で活きる力を与えたかったのです」。

Saleem氏は米Gizmodoへのメールで、研究チームは少年の死因は特定できなかったと説明。ただ、今回の調査では健康状態の悪化を示すものは見つからず、ミイラを製作する過程で取り除かれる内蔵にその兆候があったのかもしれない、と補足しています。

CTスキャンのおかげで、研究者は古代のミイラを開けたり傷つけたりすることなく、これまで以上にその中身を知ることができるようになりました。ここからはゴールデン・ボーイ・ミイラの秘密に迫る秘蔵写真をお楽しみください!

※この後、ミイラの顔部分を写したCT画像などもありますので、苦手な方はご注意を。

ミイラの外棺

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
石棺の中にミイラの外棺が2種類入れられています

プトレマイオス朝時代の少年の外棺。細部まで彩色が施され、ギリシャ文字による碑文、ヒエログリフ(エジプト文字)が記されています。

ミイラと黄金のマスク

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
ミイラと黄金のマスク

中のミイラは15歳くらいの少年。副葬品として黄金の工芸品が数多く発見されことから、かなり裕福だったと思われます。ミイラにはシダの花輪がつけられています。

ミイラを横から見たところ

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
ミイラの表面や内側、後頭部の樹脂が固まった部分にアミュレットが確認できます

ミイラを横から見ると、布の下と体内にアミュレットが隠れているのがわかります。後頭部は固めた樹脂で充填。

ミイラの履いたサンダル

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
CT画像で、少年がサンダルを履いていたことがわかりました

CTスキャンによって、ミイラはパピルスやヤシの繊維で作られたと思われるサンダルを履いていたことが判明。「このサンダルは、少年が棺桶から歩き出せるように、と入れられたものでしょう」とSaleem氏は述べています。「古代エジプト人の”死者の書”(死者とともに埋葬された葬祭文書)では、死者は聖句を暗唱するまでに敬虔かつ清潔であるため白いサンダルを履かなければならないとされていました」。

ミイラの歯

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
ミイラの歯

親知らずがまだ生えていないことから、ミイラの年齢は「少年」と推定されました。歯周病の兆候はなく、わずかに過蓋咬合だったようです。

胴体には大きなアミュレット

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
ミイラの腹腔のCT画像

ミイラの腹部をスキャンしたところ、約4.5cmのスカラベ形アミュレットが見つかりました(スカラベは翼のある甲虫の一種で、当時それをかたどったアクセサリーが人気だったそうです)。胸腔内の高い位置には小さなアミュレット、そして胴体下部には非晶性樹脂と麻布も見られました。心臓は取り除かれておらず残っています(一番上の矢印)。

スカラベをかたどったアミュレット

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
ミイラの体内のアミュレット

ミイラの中にある楕円形のスカラベ形アミュレット。

黄金のマスクとアミュレットをまとったミイラ

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US
CTスキャンでミイラの体のあちこちにアミュレットを確認、性器付近にも

CTスキャンにより、ミイラの体内外に多数のアミュレットがあることが判明。性器の横(矢印の位置)に置かれたものも。

少年の顔部分

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Image: SN Saleem, SA Seddik, M el-Halwagy via Gizmodo US

CTスキャンで見たミイラの顔。15歳くらいで亡くなったと推定されます。

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