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Friday, December 11, 2020

Toshl「言えなかった」本当の自分 - 朝日新聞社

 ロックボーカリストとしてはもちろん、近年では「スイーツ好き」としても知られ、バラエティ番組などでも活躍中のToshl。9月には、コロナ禍でライブ活動がままならないなか、たった一人の観客のためにコンサートを行ったことでも話題に。一方、花王『洗たく用洗剤 アタック3X』のWEB動画(10月18日より公開)では、コミカルかつシュールな一面を見せている。これまでのイメージを覆すほど、次々に新たな顔を見せてくれるToshlだが、その根底にはどのような思いがあるのだろうか? 過去、現在、そして未来までを語った。

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■スイーツ好きにキレイ好き、意外な顔を見せ続けるロックボーカリスト

――今回のWEB動画は、紙芝居を読みながらシャウトするという、なかなか破天荒な内容。最初に聞いたときはどう思われましたか?

【Toshl】紙芝居だな、と(笑)。一体これをどう撮るのかと焦りましたけど、仕上がりが楽しみな気持ちもありました。

――とくにシャウト部分は、かなりこだわったそうですね。

【Toshl】シャウトは自分の心の叫びであり、根底から出てしまうもの。ライブやコンサートでも、一体になりたいとき、思いを届けたいときに力の限り叫ぶんです。今作でも、自分が『ここだ!』と思ったときに全力でシャウトしているので、ぜひ注目してみていただきたいです。

――本作では洗剤を扱っていますが、Toshlさん自身もじつは洗濯たくや掃除が好きだとか。

【Toshl】はい。色々な洗剤を試すのが好きで、素材ごとに種類を変えてみたり、柔軟剤の匂いにこだわってみたりしています。同じように掃除機も色々試すのが好きで、何種類かを使い比べていますね。なんていうか、周りがグチャグチャしていると、自分の心もそうなってしまうと思っていて。ある程度清潔感と爽やかさを持って取り組みたいタイプなので、音楽や描画などアートに向かう準備として、マメにトイレを掃除したり、雑巾がけをしたり、環境と心を整えることが大事だと思っています。

――雑巾がけもご自分で?

【Toshl】はい、単純に好きなんですよね。キレイ好き!(笑)。

――キレイ好きなのは、昔からですか?

【Toshl】6年ほど前に茶道と出会ってから、お稽古の中でこれまで気づかなかった音が聞こえてきたり、見えなかった景色が見えてきたり…。周りをキレイにシンプルにしていくことで、研ぎ澄まされていくものがあるのかなと感じたんです。それまでの自分は、いつも忙しい生活が当たり前だったんですが、そうじゃない時間の流れを初めて感じて、これは心地いいなと思いました。そこから、音楽に対しても盛っていくより、そぎ落として中身を露わにしていくような表現方法に変わりました。

――茶道もそうですが、キレイ好きな一面、スイーツ好きな一面と、Toshlさんには様々な顔がありますね。世間的には激しいロックボーカリストのイメージもあるなか、そういうまったく異なる姿を見せることに、不安などはないのでしょうか?

【Toshl】不安や怖さがまったくないことはないですが、自分がやりたいことを貫くことが自分の喜びになるのはもちろん、仲間や応援してくださるファンの皆さんの喜びにもなると信じてやっているので。やるからには、突き抜けていくしかないなと思っています。

――そういった側面は、若い頃は隠していた?

【Toshl】かなり斜に構えていたので、さすがに当時は言えなかったですね(笑)。フラストレーションも溜まるのですが、それはシャウトで解消してました(笑)。悲しみや痛みとか、そういう忸怩たる思いを出せる場がなかったので、それをシャウトという形で表していたんだと思います。ロックという音楽を含めて、叫ぶ場所があったからこそ、健全に吐き出せていたという。でも、少しでもフラストレーションを溜めないためには、できる範囲で隠さず、ありのままを公言したほうがいいですね。

――公言したことで、周囲やファンの方の反響は?

【Toshl】色々な受け止め方はあるとは思います。100%自分をさらけ出すのはなかなか難しいかもしれないですが、自分の本音、好きなことを少しずつでも表に出していくことで、カッコつけない健全な関係を作り始めることができたのかなと思います。今の時代、そういう関係のほうが気がラクなのかな、という感じがしています。

■活動にコロナ禍の影響も、「歌にしても、命にしても、残された時間を考えた」

――様々な分野で活躍するToshlさんは、まさにエンタテイナーですよね。現在のご自身をどうとらえていますか?

【Toshl】エンタテインメントを“人に喜んでいただくもの”と解釈するのなら、僕はまさにそのエンタテインメントが大好きなんです。自分が面白い、楽しい、感動することを分かち合いながら、みなさんに喜んでいただける。そして僕も喜ぶという、相乗効果になると思うんです。それがまた生きるエネルギーになって、それぞれが人生を歩んでいくという…。そういうことに時間と力を費やせることは、すごくハッピーだと思うし、これからもっともっとチャレンジしていきたいです。

――エンタテインメントといえば、YOASOBIの「夜に駆ける」など、最近のヒット曲をカバーしてYouTubeで公開していますね。

【Toshl】若者たちの間で大ヒットしているような新しい時代の楽曲にチャレンジすることで、今まで出会ったことのないようなメロディやフレーズに出会えて、自分の表現方法の新たな引き出しにもなりました歌わせて頂く限りはリスペクトを持って、一生懸命練習して歌わせていただいています。

――なるほど。一方で、今回のコロナ禍は音楽界にも大きな影響を与えていると思いますが。

【Toshl】誰もが当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなかったと感じている状況です。その中で、歌にしても、命にしても、残された時間を考えました。今回のように、いつ何が起こるかわからないからこそ、今やりたいことに集中する。そうせざるを得ない状況であったことが、僕にとっては逆に良かったのかなと思います。9月22日には、東京オペラシティで『たった一人だけのコンサート』を開催したのですが、それも今しかできないこと、今だからこそできることだったと思うんです。自分がファンの立場だったら何をしてもらいたいかな?と、明るく夢のあることを考えていると楽しくもありますね。

――とはいえ、実現するには相当な勇気と覚悟が必要だったのでは?

【Toshl】この時期コンサートや絵画展をやるのもすごく大変なことですし、不安やプレッシャー、ストレスがあるのは当然ですよ。現在の状況でどうすべきか、アイディアを出していくのが新しい生き方のひとつなのかなと思います。

――悲観的になるのではなく、その中で最善策を考えていく。

【Toshl】たとえ悲嘆にくれたとしても、そこから自分の人生、運命を切り開いていく、新たなチャレンジのときでもあると思うから。発想の転換をして、グギッとギアを入れ替えて、一歩前に踏み出す勇気を持つこと。そう覚悟することで、さらなる喜びを得られるんじゃないかと自分は思います。

――バイタリティあふれるToshlさんですが、今後挑戦したいことは?

【Toshl】「龍玄とし」という名前を名乗るようになって2年くらいになるんですが、新たに名前をつけたときに、“龍のごとく果敢に挑戦”という意味を込めたんです。まぁ、単に苗字が欲しかったというのもあるんですけど(笑)。音楽だけでなく、小さい頃から色々なことをやってみたかった自分がいて。苗字をつけたことで、新たな自分に生まれ変わった気持ちになってこれもやってみよう、あれもやってみようって、楽しかったら続けよう、だめならハイ次みたいにどんどん新たな発想と実践が生まれてきたんです。今、様々なことをやらせていただけるチャンスが訪れています。

――それはいい流れですね。

【Toshl】今回の洗剤のWEB動画もその一つで、まさか自分がこんなことをやらせてもらえるとは思ってもみなかった (笑)。自分自身が作ってしまったタガを外すのは大変でしたけど、こんな新たな可能性に出会わせてもらっていると思うと、すごく幸せ者だなと思います。当然、その中で捨てていくものがあれば、入ってくるものもあると思うのですが、つねに無理をしすぎないように、つらくなりすぎないように、考え方を柔軟に心身の新陳代謝を活発にしていたいと思います。

――充実ぶりが伝わってきます。

【Toshl】自分を解放していけるチャレンジの場を与えていただけるのは、本当にありがたいと思っています。

(文:星野綾乃)

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