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Monday, September 28, 2020

余録:「ザ・ナイン」と敬意を込めて呼ばれる人たちが米国にいる… - 毎日新聞

apapikirnya.blogspot.com

 「ザ・ナイン」と敬意を込めて呼ばれる人たちが米国にいる。9人で構成される連邦最高裁の判事たちだ。それぞれが保守やリベラルの思想を持ちながらも、指名する大統領ではなく法にのみ従うと誓う憲法の番人である▲中立性を守る姿勢の一端は、三権のメンバーが連邦議事堂に集う大統領の一般教書演説のときに見てとれる。全員が起立して大統領に拍手を送る場面でも黙して座したままだ。党派を超えた存在という自負が振る舞いから伝わる▲その威厳を吹き飛ばす事態である。トランプ大統領が、死去したリベラル派のギンズバーグ判事の後任に保守派のバレット控訴裁判事を指名した。大統領選の結果次第で法廷闘争になることを想定し、共和党に有利な体制にする狙いという▲民主党は承認手続きを選挙後に先送りすべきだと主張する。同じく大統領選の年だった4年前に欠員が出た際、オバマ前大統領が指名した判事の承認を共和党が拒否した。それを盾に阻止する構えだ。判事は終身制だけに党派色むきだしの政争である▲とはいえ判事は大統領の意のままにはならない。人工妊娠中絶の合憲判決は保守派判事も支持した。2000年大統領選でフロリダ州の再集計を退け共和党のブッシュ氏を勝利に導いた判決では保守派判事が異論をはさんだ▲時代の流れとともに保守からリベラルへと転じる判事は珍しくない。逆もまたしかりだ。最高裁は党利党略を実現する道具ではない。それを一番わかっているのも最高裁だろう。

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