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Monday, June 10, 2024

アップルの開発者会議きょう開幕、AIの主要勢力になれるか正念場に - ブルームバーグ

10日開幕する アップルの世界開発者会議(WWDC)は、スマートフォン「iPhone」を手掛ける同社が急成長する人工知能(AI)分野で主要プレーヤーになれるかどうかが明らかになる。新時代への適応を迫られる同社にとって正念場と言える。

  アップルはAIの初期のパイオニアで、写真加工や健康機能、デジタルアシスタント「Siri」などで利用してきたが、今では出遅れ組と受け止められており、特に過去2年間にはオープンAIのチャットボット「ChatGPT」など最先端技術が登場して後塵(こうじん)を拝している。

  そんな中、アップルは米太平洋時間10日午前10時(日本時間11日午前2時)に開幕するWWDCの基調講演で、AIの実力を披露する。事情に詳しい複数の関係者によると、同社は「アップル・インテリジェンス」と呼ぶ一連のAI機能を公表する予定だ。

  アップルは2011年に音声アシスタント「Siri」を発表したが、同技術はすぐにアマゾン・ドット・コムの「アレクサ」や アルファベットの「Googleアシスタント」に追い抜かれた。AIは22年末にオープンAIのChatGPTでさらに飛躍し、23年にはグーグルや マイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどから競合サービスが登場した。

  スマートフォンでアップルにとって最大のライバルであるサムスン電子は今年、グーグルのAI機能を自社のデバイスに統合した。

  アップルが技術を磨いてライバルに追いつくことができれば、AIへのシフトは同社にとって大きなチャンスとなろう。AIベースの基本ソフト(OS)は情報収集やコンテンツ作成・編集、デバイス操作の方法を変える。

  今回のイベントでアップルは、次期OSの「iOS 18」と「iPadOS 18」、「macOS 15」にAI機能をどう組み込むかを示す。また、Siriのより 強力なバージョンも計画している。

  アップル・インテリジェンスは、ユーザーが必要とする時に、より多くの情報を提供することに重点を置く。これには、通知やテキストメッセージ、電子メールの要約、会議メモの合成、ボイスメモの書き起こし、カスタム絵文字の作成などが含まれる。また、電子メールをより分け、カテゴリー別に分類することもできるようになる。

  同社はまた、独自の大規模言語モデル(LLM)にも取り組んでいるが、この分野ではまだ十分ではないと関係者は語っている。そのため、アップルにチャットボットを提供するオープンAIとの提携を発表する予定だ。

  アップルにはAI分野への進出を拡大する上で大きな利点がある。それは忠実な顧客を非常に多く抱えている点で、LLMで画期的なことをせずともAIで成功する可能性があるとバーンスタインのアナリスト、トニ・サコナギ氏は指摘する。

  ただ、一つ懸念されるのは、オープンAIとの提携により、iPhoneでグーグル検索を使うユーザーが減りかねないことだ。アップルはグーグルとの収益分配契約によって年間数十億ドルを得ている。一方、アップルとオープンAIとの契約条件は明らかになっていない。また、アップルはグーグルとの間で、チャットボットの選択肢として同社の「Gemini」技術を最終的にiPhoneに搭載するため別の契約について交渉中だとブルームバーグは報じている。

  アップルはいずれ、独自のチャットボットや生成AIを提供したい考えだろうが、パートナーと組むことで多くのリスクを負うことなくAI分野でかじ取りができる。オープンAIとグーグルはチャットボットが誤った情報を提供したことで反感を買った経緯があり、アップルはそうした事態を避けたい考えだと同社でAI研究に携わった元幹部でカーネギーメロン大学教授のルスラン・サラクフトディノフ氏は話した。

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原題: Apple Event Will Show Whether It Can Be a Force in AI Industry(抜粋)

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