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海があり、陸地があり、植物や動物がひしめきあっている地球――。私たちが当たり前のように享受しているこの星の環境は、実は46億年かけて生み出された「すごすぎる仕組み」だった…!
地球の成り立ちから現在までの変化を壮大なスケールで眺め、物質循環という「非常にシンプルな原理」で解説した地球科学の新しい入門書『地球46億年 物質大循環』から、そのポイントをお伝えしたい。
*本記事は、月村勝宏著『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
宇宙も地球も「元素」からできている
本稿では、まず予備知識として、元素の性質や太陽系にある元素の量と分布を見ていきましょう。元素とは何か、元素の性質による分類、各元素の量によるランキング、地球と太陽系全体との元素組成の違いを見ていきます。
「科学の知識が世界から消えてしまうときに、科学の知識をひとつだけ残すことができるとしたら、なにを残すか?」との議論が『ファインマン物理学』という教科書に書かれていました。『ファインマン物理学』は1960年代に米国カリフォルニア工科大学でファインマン教授が行った講義をもとに書かれた物理学の有名な教科書です。その教科書の中でファインマン教授は、「残すべき科学知識は物質が原子という小さな粒でできていることだ」と言っています。
原子という小さな粒の大きさはどのくらいかを見てみましょう。炭素原子の大きさは、134pm(ピコメートル、p:10のマイナス12乗)です。しかし、134pmと言われても、その大きさをなかなか実感できないでしょう。
そこで、「炭素原子」と「イチゴ」と「地球」の大きさを比較して炭素原子の大きさを実感しようと思います。「炭素原子」の3億1000万倍が、「イチゴ」になります。そして、「イチゴ」の3億1000万倍が「地球」になります。この関係を図1‒1に表しますので、「炭素原子」がいかに小さいかを見てください。
次に、原子の粒の中身を見てみましょう。原子は、原子核と電子でできています。原子核が中心にあり、その周りに電子があります。原子核は、陽子と中性子から成っています。陽子はプラスの電荷がありますが、中性子は電荷がありません。以上を図1‒2で確認してください。
ただし、図1‒2は、見やすくした図であることに注意してください。見やすくするために原子核を実際よりもかなり大きく描いています。じつは、原子核はとても小さいのです。原子核を米粒の大きさとすると、原子の大きさは甲子園球場くらいになります。
図1‒2は2次元ですが、実際の原子はもちろん3次元です。図1‒2は電子を小さな円で表し特定の場所にあるように描いていますが、電子ははっきりとした形を持った物体ではなく、どこにあるかもわからないのです。電子がある位置はその確率がわかるだけです。このような小さな世界の物体はわれわれが日常生活で見る物体とはかなり異なっています。このような小さな世界を記述する学問が量子力学です。
原子核の話に戻ります。陽子はプラスの、電子はマイナスのそれぞれ絶対値が等しい電荷を持っています。また、陽子と中性子はほぼ同じ質量であり、陽子や中性子は電子の1840倍の質量があります。つまり、原子の重さは原子核の重さでほとんど決まってしまうのです。
原子核中の陽子の個数は1から118まであります。中性子の個数は、陽子の個数とほぼ同じかやや多いのです。原子に含まれる陽子の数を原子番号といいます。原子番号が決まると原子核の正電荷の量が決まります。その正の電荷を打ち消して原子全体の電荷がゼロになるよう原子核は電子を引きつけます。その結果、低温状態にある孤立した原子では、陽子の数と電子の数は等しくなります。
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