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Wednesday, November 2, 2022

いったい何なんだこのヘッドホン ...... 。ゼンハイザ ー「 MOMENTUM 4 Wireless 」を数週間使って - GIZMODO JAPAN

「音質」をどう捉える? それがすべてかも。

ボーズ「QuietComfort」がノイズキャンセリングを切り開き、ソニー「WF-1000X」が機能を洗練させ、アップル「AirPods Max」が新たな可能性を示すなど、常に進歩を見せているワイヤレスヘッドホン。そこに新たな最高峰となるプロダクトが登場しました。

ドイツが誇る老舗オーディオブランド「ゼンハイザー」が展開する「MOMENTUM(モメンタム)」シリーズ。その新フラッグシップが、この「MOMENTUM 4 Wireless」です。

公式サイトが示す通り、その最大のセールスポイントは「音質」ですが、果たしてその真価は? 自宅で数週間使用してのレビューをお届けします。

「楽器的」な最高級サウンド。大迫力の低音域と、生々しい解像感。

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シルキーな高音&地鳴りのような重低音と過剰なまでの解像感。それが「MOMENTUM 4 Wireless」で音楽を再生しての第一印象。

ビヨンセの2022年最新アルバム『ルネッサンス』を再生すれば、大迫力のビートとともにセンターに定位された歌声が非常に生々しく聞こえてきます。すぐそこに口元が感じられるかのような解像感には、ASMR的な官能性すら感じられるほど。

Video: Beyoncé/YouTube

ゼンハイザーが「ワイヤレスヘッドホンの最高級の音質がここにある」と表明する「MOMENTUM 4 Wireless」ですが、間違いなく“最高級”です。“最高級”かどうかはともかく、最も”高級”な……つまり、非常に値段が高そうな音がします。

音響機器は大きく「モニター的」か「オーディオ的」かの2種類に分けられるという考え方があります。ここではよりわかりやすく「オーディオ的」を「楽器的」と言い換えようと思いますが、つまりは「いかに心地良い音を鳴らすことができるか」に重点が置かれている製品ということですね。逆に「モニター的」は加工しない原音をそのまま鳴らそうとする製品です。というわけで、音楽制作用の機材でもない限り、ほぼすべてのプロダクトは「楽器的」と言って間違いないでしょう。

しかし「モニター的」と「楽器的」の間には無限のグラデーションがあります。音楽観賞用カテゴリの製品だとしても、聴き手には「もっと原音忠実なフラットな方が……」「とにかく低音にパワーが欲しい」などの好みがあるわけですね。

その観点で言えば、「MOMENTUM 4 Wireless」は「楽器的」傾向が非常に強い製品です(なおゼンハイザーの「モニター的」製品ラインは「HD」シリーズです)。

Video: アニプレックス YouTube チャンネル/YouTube

例えば、さユり「花の塔」を聴いてみると分かりやすいでしょう。

イントロのキメとさユりの歌声は高音域成分を強く含んでいるため、モニター的傾向の強いヘッドホンで聴くと「ちょっと耳が痛い」と感じる人も少なくないはず。音楽スタジオでの導入も多いモニタースピーカー「RL906」でも聴いてみましたが、やっぱり少し痛めです。

しかし「MOMENTUM 4 Wireless」は、その高音をきれいにオブラートに包んでくれます。少しトゲを感じた表面が、滑らかなシリコンに覆われ、なんなら光沢感さえ感じられるほどの心地よさに変わるんですよ。それは低音域も同様で、ベースとキックドラムからは生楽器のニュアンスが減り、まるでクラブミュージックのようにドカドカと鳴り始めます。

そう、音楽ジャンルが変わるほどの違いなんです。この音作りが好みかどうかで「MOMENTUM 4 Wireless」の評価は大きく変わることでしょう。

それともう1点気になったのが、ステレオの分離感がものすごく強いということ。これは未体験の領域でかなり驚いたのですが、通常のヘッドホンと比べて「Lチャンネル全振りの音が、本当にL側でしか鳴ってない」感覚がすさまじく強いです。この感覚がセンター位置の歌声の定位感を強めているのかもしれませんが、左右にきっちり音が振り分けられているマイルス・デイヴィス『Four & More』のようなジャズ作品では違和感しかありませんでした。

というわけで、「MOMENTUM 4 Wireless」は本当に独特なので、「購入前の試聴はマスト」と言っておきたいと思います。

ちなみに「AirPods」シリーズは競合製品の中では明らかにモニター的傾向が強く地味めな音作りですので、試聴がどうしてもできない方は参考にしてみてください。

ノイキャンは及第点。でも自宅で使うユーザーにはこれ以上必要なし

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ノイキャン搭載の完全ワイヤレスイヤホンが珍しいものでなくなった今、ヘッドホンを屋外で使っている人をほとんど見かけなくなりました。

かくいう僕もその一人で、AirPods Pro発売以降はオーバーイヤーのヘッドホンを外に持ち出すことはほぼありません。

というわけで、今回は屋内での検証のみとなりますが「MOMENTUM 4 Wireless」のノイキャンは及第点です。AirPods Maxと比べると高音キャンセルが強めですが圧迫感強め。最新のAirPods Pro 2と比べると全体のキャンセル性能とナチュラルさが1段階劣るという印象ですね。外音取り込みも比較的ナチュラルですが、音楽再生時と同様に低音域が強調されているのがちょっと気になりました。

ただ、自宅で使う分にはこれで十分だと思いますし、サウンドの音圧自体がかなり強いため「飛行機で音声コンテンツを超クリアに楽しみたい」みたいな特殊なニーズがない限りは全く問題ないはずです。

「及第点」と言うとイマイチっぽく聞こえますが、「全然これでOK」という意味での表現です。

一番良いと思ったかも。シルキーな付け心地とバッテリー性能

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個人的に「最高」と思ったのが、着け心地です。

ヘッドバンドとイヤーパッドのクッション性とスムーズな肌触りが、なんとも気持ちいいんですよ。プラスチックを使ったボディについては「5万4500円(税込)という値段に対して質感が見合ってない」との批判もあるようですし、個人的にも同意する部分はあります。しかし、その分軽量で着け心地の良さにプラスに働いているので、一長一短だと思いますね。

そしてもう1点気に入っているのが、2時間の充電で最大60時間再生というバッテリーライフ。

机で放っておくとすぐに充電アラートが出るAirPods Maxと比べ、なんと手間のかからないことか。……その分AirPods Maxに愛着が湧いてくる謎現象もあるのですが、「MOMENTUM 4 Wireless」のバッテリー面での安心感は本当にすばらしいものがありますね。

どう捉えればいいのかわからない。不思議なヘッドホン

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「MOMENTUM 4 Wireless」があなたにとって最高のヘッドホンになるかどうか。

その最大の分岐点は、このサウンドをどう捉えるか。どう感じるか次第でしょう。正直、数週間を一緒に過ごした今も、僕はこの「MOMENTUM 4 Wireless」をどう判断すればいいか迷っています。

いやいやいや、マジで難しい。AirPods Maxとは別ベクトルの“極北”な製品が出た感じがします。

とりあえず、ぜひ一度試聴してみることをおすすめします。

Photo: 照沼健太
Source:

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