人工知能(AI)の助けをかりて、火星からやってきた隕石の起源をピンポイントで特定することに成功した。
研究者たちは、この隕石が火星の南半球のテラ・シメリア・シレナム地域にあるカラサ・クレーターが起源であることをつきとめた。
2011年にサハラ砂漠で発見された重さは320gのこの美しい隕石「NWA 7034」は、「ブラック・ビューティー」として知られている。
ブラック・ビューティーにはこれまでに年代測定されたものの中で最古となる、およそ45億年前の火星最古の火成岩物質を含まれており、これは火星そのものの年齢とほぼ同じだ。
研究論文著者であるオーストラリア、カーティン大学のアンソニー・ラゲイン博士によると、ブラック・ビューティーは、500万年前~1000万年前に、火星に小惑星が衝突したことによって、地球に放出されたと言う。
ブラック・ビューティーは、さまざまなタイプの岩石が一緒にくっついて固まった角礫岩で、この手のタイプのものとしては、地球にある唯一のサンプルだ。当初は、およそ21億年前のものだと考えられていた。
火星から地球に飛来した隕石「ブラック・ビューティー(NWA 7034)」 / image credit:public domain/wikimedia
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この小惑星が火星の南半球、テラ・シメリア・シレナム地域に残したクレーターは、オーストラリア西部の鉱山町にちなんでカラサ・クレーターと名づけられた。
これは、国際天文学連合が定めた、小さなクレーターには、人口10万人以下の地球上の町の名前をつけなければならないという命名規則に従ったものだ。
「ブラック・ビューティーは、火星を起源とする最古の鉱物を含んでいるため、オーストラリア西部の町の名をつけたのはいいアイデアだと思います」ラゲイン博士は言う。
「このクレーターにカラサと名づけたのは、この町が地球で最古の岩石があるピルバラ地方にもっとも近い場所だからなのです」
赤い丸が火星のカラサ・クレーター / image credit:Curtin University
AIで火星のクレーターを分析
ブラック・ビューティーの起源を突き止めるために、アルゴリズムを学ばせたAIマシンを使って、火星表面にある9400万個の衝突クレーターの大きさと分布を分析させた。
AIは火星周回軌道にある「マーズ・リコネイサンス・オービター」のカメラで撮影された何万枚もの画像を評価した。
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そのうち19個に候補を絞り、ブラック・ビューティーの特徴と一致するクレーターを特定していったという。
火星のカサラ・クレーター / image credit:Curtin University
ブラック・ビューティーの起源を突き止めるのは、火星の初期の地質学的な歴史を理解したいという強い思いからだった。
ブラック・ビューティーに含まれる鉱物の一部は、45億年前のもので、これは火星そのものの年齢とほぼ同じなのです。カラサ・クレーターの周辺を分析すると、この地域の組成が、地球の大陸の組成に非常に近いものであることに気づきます。この地域が、火星の非常に古い大陸の遺物である可能性を示しているのかもしれません
「私たちは、地球を含む惑星の初期の進化をほとんど知りません」ラゲイン博士は言う。地球には、プレートテクトニクス(プレートの移動による地殻変動)があって、侵食が進んでいるため、古い岩石を見つけるのはとても難しいからだ。
今回の発見は、地球の初期の歴史についての手がかりにもなるという。
この研究は『Nature Communications』誌に発表された。
References:Origin site of oldest Martian meteorite ‘Black Beauty’ named after WA mining town | Space | The Guardian / written by konohazuku / edited by / parumo
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