Research Press Release
Nature Communications
2022年4月20日
Planetary science: Potential for shallow liquid water on Europa
グリーンランド氷床のデータに基づいた研究から、木星の衛星エウロパに水深の浅い液体の水域が存在する可能性が示唆されたことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、エウロパの形成に至る地球物理学的過程を解明するためのさらなる手掛かりとなるかもしれない。
エウロパについては、宇宙探査機(ボイジャー、ガリレオ)による観測が行われている。これらの観測ミッションで収集されたデータは、モデル化研究の結果と相まって、厚さ20~30キロメートルの氷殻の下に液体の水の海洋が存在する可能性を示唆している。氷殻の構造とその進化を解明することは、エウロパの地球物理学的過程を理解する上で重要である。
今回、Riley Culbergたちは、エウロパ上の多くの地域で見られ、長さ数百キロメートルに及ぶものもある二重山稜(ほぼ対称な2つの尾根の間に浅い谷のある地形)という表面地形を調べた。Culbergたちは、エウロパの二重山稜と同じ形状の二重山稜をグリーンランド北西部の氷床で確認し、地表高度データとレーダー測深データを用いてグリーンランドの二重山稜の形成過程を調べ、氷床内部にある水深の浅い水域の岩床の再凍結、加圧、破壊が引き続き起こって、二重山稜が形成されたことを示した。Culbergたちは、この過程によってエウロパの二重山稜が形成されたのであれば、エウロパの氷殻の下に水深の浅い液体の水域が存在していることを示している可能性があるという見解を示している。
Culbergたちは、今回の研究から、エウロパの表面地形の形成に関しては、水深の浅い水域が関係する過程がこれまで考えられていた以上に支配的な役割を果たしていた可能性が示唆されたと結論付けている。
doi:10.1038/s41467-022-29458-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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