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Thursday, October 21, 2021

「本当のDX」ができなければ、日本は「みずほ」になってしまう - 現代ビジネス

デジタル神話は終わる

1990年代前半に米国から始まったIT・インターネット化の流れは、おおよそ四半世紀の間に世界を一変させたと言ってよい。

ポケットベルはそれ以前の先端アイテムで、特に日本とは大きな時差が存在する欧州市場や昼夜が逆転する米国市場が絡むトレーダーは、常時ポケットベル(参照「ポケットベルの歴史」)を持ち歩いていた。そして市場が急変したという連絡があると飲み屋から公衆電話(当時はビル内などに普通に公衆電話があった)で連絡を取ったり、トレーディングルームに駆け付けたりしていた。

by Gettyimages

携帯電話などというものは存在しなかったし(子供のランドセルほどの大きさがある背負い型・肩かけ式や、自動車に据え付ける「自動車電話」は存在した)、為替を始めとする「相場情報」は、トレーディングルームに備え付けのモニター(ロイター、ブルームバーグなど)でしか見ることができなかったのだ。

しかし、今やごく普通の投資家が、スマホを使って値動きを追いかけ、ネット取引を自宅、オフィス、飲み屋でごく普通に行う時代である。

その他にも、IT・インターネットが社会を激変させた例は数限りない。だから、「デジタル神話」とも呼ぶべき一種の信仰が生まれるのも無理はない。

かつて日本には「土地神話」というものが存在し、土地は買っておけば必ず値上がりすると多くの日本人が信じていた。1980年代のバブルにおいて土地価格が異常に高騰したのもこの影響が大きい。「将来必ず価格が上がるもの」を売りたいという人は少ないから、「無理やり売らせる地上げ屋」が暗躍した。

だが1990年頃のバブル崩壊とともに「土地神話」が消滅し、地上げ屋の求めに応じて土地を売った人々が結局一番儲かったのである。

同じように「デジタル神話」もそろそろ崩壊の時期が来ているように思える。特に最近の「中身の無いDX騒動」を見ているとそう感じる。

巷で騒がれる「DX」とは、要するに「デジタル様の教えに従えば、すべてうまくいきますよ」と言っているように聞こえる。

「土地神話」が崩壊しても、土地の利用価値・機能は変わらず我々にとって必要不可欠なものである。同じく「デジタル神話」が崩壊した場合も、IT・デジタルの利便性そのものには変わりが無い。

だが、「土地神話」に乗せられて多くの人々がムダ金を支払わされたように「デジタル神話」に乗せられて、必要以上のコストやエネルギーを費やすべきではないと考える。

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