中古車情報などを見ていると「タイミングベルト交換済み」という表示が行われていることがあります。タイミングベルトは国産車の場合おおよそ走行10万km、輸入車は5万kmや車種によっては3万kmで交換することが推奨されている部品です。
交換にはそれなりのコストが掛かるため、走行距離が多い中古車の購入時には交換されているか否か? は重要なポイントとなります。
文/諸星陽一
写真/Adobe Stock、編集部
トップ画像/ARTPROXIMO.Stock.Adobe.com
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切れたら最後! そもそもタイミングベルトとは?
そもそもタイミングベルトとは何でしょう?
タイミングベルトは、OHCとDOHC、カムシャフトがヘッド上にあるタイプのレシプロエンジンで、クランクシャフトの回転を吸排気カムシャフトに伝えるための部品です。
昔はチェーンを使って回転を伝えていましたが、1970年前後からコグドベルトと呼ばれる歯付きベルト(ベルトに凸部分があり、チェーンやギヤのように使える)が多くのエンジンに採用されるようになりました。
チェーンに代わってコグドベルトが使われるようになったのは、コストが安い、騒音を減らせる、潤滑の必要がないなどの利点があるからでした。
しかしチェーンのように半永久的(といってもチェーンも伸びますので40万km、50万kmとなると寿命になっていることはあります)には使えず、長くても10万km程度で交換しなくてはならないことが大きなデメリットでした。
エンジンが回っている状態でタイミングベルトが切れると、正しい順序で動いていたピストンとバルブの動きがメチャクチャになり、ピストンとバルブが接触してエンジンが破損します。
年々クルマの寿命が長くなり、中古車として下取りに出される前にタイミングベルトの寿命が来て、新車で購入したオーナーがタイミングベルトを交換しなければならないようなことも起きてきました。そうなると新車としての魅力がダウンします。
いっぽう、タイミングチェーンも進化し静粛性を高めたサイレントチェーンと呼ばれるものが登場。タイミングベルト方式からチェーン方式への移行が進みました。
なぜタイミングベルトに再脚光?
しかし、ここに来てふたたびタイミングベルトが注目を浴びるようになってきました。
タイミングベルトは、タイミングチェーンに比べて重量が軽くなります。重量が軽いほうがエンジンの負担は減ります。タイミングチェーンもタイミングベルトもテンショナーといわれるパーツで、チェーンやベルトに“張り”を与えておかなくてはなりませんが、タイミングベルトのほうが弱い“張り”で使うことができます。
“張り”が強いほどエンジンの抵抗となります。タイミングベルトは重量でも“張り”でもタイミングチェーンよりも負担が少ないので、エンジンの効率をアップして燃費を向上することができます。
燃費が向上できると二酸化炭素排出量も減らせるため、各国の環境規制をクリアする手段としてタイミングベルトをふたたび採用するケースが増加しつつあります。
タイミングチェーンは、エンジン内部のオイルが存在する場所に配置されますが、一般的なタイミングベルトはエンジンの外側のオイルが存在しない場所に配置されています。
ベルトにオイルが付着すると「膨潤」といって、ベルトに使われているゴムの分子の間にオイルが入り込んで膨らんでしまう現象が起きます。膨潤を起こすとベルトの耐久性は急激に低下して断裂します。
しかし、最新のタイミングベルトはこの膨潤を克服することでエンジンのオイルの存在する場所、つまりタイミングチェーンと同じ場所に配置することが可能になりました。
これは、エンジンの設計を大きく変えることなく、タイミングチェーン方式をタイミングベルト方式に変更できることを意味します。
そして、オイルに触れながら使うことで逆に寿命が延びることになります。たとえば、プジョー208に使われている湿式タイミングベルトは10万kmまたは6年が推奨交換時期となっています。
からの記事と詳細 ( 最悪エンジンが壊れる場合も!? 超重要部品「タイミングベルト」 本当の寿命と復活の訳 - ベストカーWeb )
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