デビューが1986年1月ということで、今年は35周年のメモリアルイヤーとなる徳永英明。6月2日には4年振りとなるニューアルバム『LOVE PERSON』のリリースが予定されている。聴く人を癒し、和ませる独特の美声を持つシンガーであることはみなさんご承知のことと思うが、改めて言うまでもなく、彼は単に歌がうまいだけのアーティストではない。カバー集の人気が高ったこともあって、そう感じている方もいらっしゃるかもしれないが、作品毎にテーマを掲げ、作品を通じて自身のメッセージを示すシンガーシンガーソングライターである。当コラムではそんな彼のスタンスが色濃く出た6thアルバム『JUSTICE』を紹介する。 ※德永英明の「英」は四画の草冠。
“1/fゆらぎ”を持つ歌声
德永英明を語る場合、彼の楽曲のメロディーうんぬん、サウンドどうこう、歌詞がどうしたと言う前に、まずその歌唱力について触れないわけにはいかないだろう。歌がうまいのはもちろんのこと、音符を正確に奏でるとか、パフォーマンスに迫力があるとか、そういうことだけではなく、彼は聴く人を納得させる声質を持っている。それがヴォーカリスト・德永英明の最大の特徴であることは疑いまでもなかろう。それは“1/fゆらぎ”を持つ歌声とも言われている。 “1/fゆらぎ”とは[パワー(スペクトル密度)が周波数 f に反比例するゆらぎのこと]であり、[具体例としては人の心拍の間隔、ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、小川のせせらぐ音、目の動き方、木漏れ日、蛍の光り方などがある]とのこと。[人間の生体は五感を通して外界から1/fゆらぎを感知すると、生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられ、 精神が安定し、 活力が湧くと考えられている]そうである。調子に乗ってどんどん引用すると、[物理学者の武者利光による研究で、自然界の1/fゆらぎ音を聴くと脳内がα波の状態になり、人間の生体にリラクゼーション効果をもたらすと発表されている。ヒーリング・ミュージックの効能の説明にも使われる言葉であり、規則正しい音とランダムで規則性がない音との中間の音で、音響振動数のゆらぎが生体リズムのゆらぎと同じ音楽は、人に快適感やヒーリング効果を与えると考えられる。(中略)いわゆる名曲と言われるものも1/fゆらぎを示すことが分かってきた]ともある。また、[1/fゆらぎが一部の人間の歌声にも現れると主張されることもある]とされ、その代表例として、MISIA、美空ひばり、宇多田ヒカルと並んで、德永英明が紹介されている。つまり、彼の歌声は科学的にも裏付けられており、単にシルキーだとか柔らかいだけでは形容し難い美声と言えるのである(以上、ここまでの[]はすべてWikipediaからの引用)。 2005年、収録曲が全て女性ミュージシャン、あるいは女性ヴォーカルのバンドの楽曲で構成された德永英明、初のカバーアルバム『VOCALIST』が大ヒット。以降、シリーズ化し、2010年の『VOCALIST 4』まで4作品が発表され、德永英明の歴代アルバム売上のトップ3は、第1位が『VOCALIST 3』、第2位が『VOCALIST』、第3位が『VOCALIST 2』と、このシリーズが占めている。そのことが“1/fゆらぎ”を持つと言われる彼の美声がどれほど大衆の支持を集めているかの証拠に他ならないだろう。このシリーズに収録された楽曲のほとんどは誰もが知るヒット曲。上記の説を借りれば、曲自体がこれもまた“1/fゆらぎ”を示しているものばかりだ。それがさらに“1/fゆらぎ”で表現されるのだから、聴いていて気持ちが良いのは当たり前と言っていいだろう。 一般リスナーの感想として、これまで原曲はあんまり好みではなかったけれど、德永英明の歌うバージョンを聴いて、改めて名曲であることを知った…なんて声を耳にして、“そりゃあ、原曲を歌った人に失礼というものでは…”と思わず苦笑いもしたが、それほどに德永英明の歌声が魅力的であると素直に受け取るしかあるまい。言うまでもなく、その美声はカバー集からいきなり発揮されたのではなく、デビュー曲「レイニー ブルー」にせよ、初のシングルチャートトップ10入りを果たした「輝きながら…」にせよ、十二分にそれを確認することができる。この『JUSTICE』も然り。これもまた德永英明を代表するヒットナンバーであるM2「壊れかけのRadio」は、少しかすれた感じでありながらもしっかりと圧しがある歌声が、寄る辺なき中で力強く前を見据える歌詞のテーマと見事に合致していて、他の誰にも歌えない珠玉の名曲に仕上げていると言える。
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