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Thursday, March 11, 2021

クアッドで議論されるべき人民解放軍の本当の脅威 - Newsweekjapan

<中国は軍備増強と兵器システムの刷新を進めているが、軍内部には脆弱性も抱えている>

中国の潜在的な脅威を視野に入れた非公式な対話の枠組み「日米豪印戦略対話」(クアッド)の初の首脳会談がオンライン形式で米東部時間の3月12日に開催される予定だ。

会談に先立ち、デービッド・フィリップ米インド太平洋軍司令官が3月9日に米議会で行なった証言が注目されている。

とりわけ国境地帯で中国と小競り合いが絶えないインドにとっては、ヒマラヤのラダック地域の複数の拠点に中国軍が居座り続けているというフィリップ司令官の証言は聞き捨てならないものだった。インドは軍のトップレベルで中国と協議を重ね、今年2月に係争地から双方の部隊を引き上げることで合意を取り付けたばかりだったからだ。

しかし中国が圧倒的な軍事力を持つかのような「中国脅威論」はミスリーディングだ。インドはともあれ、アメリカとの比較では、中国の軍備ははるかに劣る。米有力シンクタンク・戦略国際問題研究所の推定では、中国の防衛予算はおよそ2000億ドルで、アメリカの予算9340億ドル前後の4分の1にも満たない。アメリカは、中国が攻撃的な姿勢を強める事態を深刻に受け止めているが、こうした現実を忘れてはいけない。

アジアの海から米軍を締め出す戦略

アメリカにとって中国の軍備が厄介なのは、その規模と能力のためではない。問題は、アメリカが「接近阻止・領域拒否」と呼ぶ中国軍の海上戦略であり、中国周辺の海域への米軍の介入を妨害することを目的としてミサイル・電子兵器を配備していることだ。

例えば、中国が沿岸部の基地からミサイルを発射すれば、米軍の艦船が紛争海域に接近することはほぼ不可能になる。中国が台湾に武力行使をちらつかせるなか、この状況はアメリカの戦略を深刻に脅かす。

ただ、中国軍の内情は外部からは見えにくい。そのために中国の軍事的脅威が過大評価されている面もある。中国軍は先端技術の導入を精力的に進めているが、上層部の腐敗から兵器システムのメンテナンスの不備まで、多くの弱点を抱えており、その一掃は一朝一夕にはいかない。

中国軍のプロパガンダと秘密主義のせいで、中国国内でもこうした問題を精査し議論することは難しく、外部の人間が情報を入手することは不可能に近い。その点がアメリカや台湾とは違う。

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