ネットも電話も使わず、手紙でしか予約できない岩手の宿「苫屋(とまや)」。現代では珍しいスタイルの宿と、オンラインでつないで、地方への移住や「便利」について考えました。「不便を解消してくれる便利はありがたいけど、便利をもっともっとと言うのはどうかな」。新型コロナウイルスで価値観が見直される今、オンラインでつないだ「苫屋」の囲炉裏を囲みながら、本当に大事なことについて語り合いました。 【画像】手紙でしか予約できない宿、中を写真で紹介 人が自然と集まる囲炉裏 ほぼ自給自足の生活
「地方」の自活力
イベント「手紙で予約する宿・苫屋から考える本当のノーマル」は12月17日の夜に開かれました。「苫屋」の坂本充さんと久美子さんの夫妻を中心に、地方への移住や持続性のある生き方に詳しい「ソトコトオンライン」編集長の北野博俊さんに解説してもらいながら、オンラインで参加者とつなぎました。司会は朝日新聞盛岡総局で「#ゆるり脱デジ旅」を担当する御船紗子記者が務めました。(苫屋の現地と、東京の北野さん、盛岡の御船記者と3カ所で中継を結びました) 〈電話やインターネットといった、今や日本中のどこにでも当たり前にあるものを、あえてなくしている環境から、苫屋は不便なのかという点について考えていきます〉 御船紗子記者(以下、御船記者):野田村やその近くに取材に行く機会が多いんですが、一息ついて、少し何か食べたいなと、Googleマップで「コンビニ」と検索しても、最寄りのコンビニが15キロから20キロ先なんです。私自身も、関西の地方都市の出身なので、徒歩圏内にないというのは、慣れているんですが、20キロにちょっと面食らってしまいまして。 ソトコトオンライン編集長の北野博俊さん(以下、北野さん):中山間地域に行けばコンビニがないというのは当たり前かなと思います。ただ、ないと困るかと言われると、案外そうでもないんじゃないかなと思っています。 御船記者:野田村だと、コンビニが遠いかと思うんですが、ご不便感じますか。 坂本充さん(以下、充さん):コンビニで買い物をすること自体がほとんどないね。 坂本久美子さん(以下、久美子さん):ごめんね。店があるのは知っているけれども、寄らないし。 充さん:どこか出かけている時にカフェを買うくらいかな。笑 御船記者:普段だとお買い物って、どういうところでされるんでしょうか。 久美子さん:野田の街に行ったり、(隣の)久慈(市)に行ったりするけれども。だって紗子ちゃん(=御船記者)、うち冷蔵庫あるから、コンビニいらないよ。 御船記者:私の家も冷蔵庫あるんですけど、コンビニ行きます。笑 久美子さん:畑があるから、何も問題ないの。欲しいものは畑に行けば手に入っちゃう。 御船記者:ですよね。畑で60種類ぐらい育てていらっしゃるということでしたもんね。 〈ここで、苫屋の日常について、さらに質問が〉 視聴者:普段、どのような食生活を送っていますか。家畜を飼っていますか。 充さん:鶏をずっと飼っていたんですけれど…。キャンピングカー暮らしの時から犬が2匹いたんですけど、犬がいなくなってしまってから、野生動物があまりにも来るんで、7年前くらいからやめました。ヤギも一回飼いました。猟師さんから、鹿肉や熊肉をもらうこともあります。ヤマドリ、キジ、カモ。あとは、三陸沿岸ですから、魚は本当に(捕れる)。今日も終わってから食べる魚(=ドンコ)を焼いてますけれど、これ(4匹)にあと五つ袋に入って、150円ですからね。豊かです、ここは。 御船記者:(魚を焼いている)囲炉裏、すごく魅力的に見えます。あえて囲炉裏でその部屋を賄っておられるというのは、暖かいから大丈夫ということなのでしょうか。 充さん:これは、囲炉裏が建物の中心にあるからですよね。ここから囲炉裏を抜いたのでは、肝心なものがなくなる気がするけどね。 御船記者:囲炉裏があるから、宿泊客もその部屋に集まってくるんですよね。 充さん:そうですね、そう思います。 久美子さん:ここで囲炉裏を囲むと、初めての人もお友達っぽくなるじゃない。心のガードをほぐしてくれる。気がついたら家族のようになっちゃうみたいな。 北野さん:最近ですと、人が生き生きと過ごせるシェアハウスって、実は真ん中にキッチンがあるシェアハウスだったりするんです。それは何かというと、やはりそこに人が集まれる。昔であれば囲炉裏ですし、今であればリビングの中心にあるテーブルなどですが、そういったものは昔も今も重要かなと思います。
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