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Saturday, November 28, 2020

不登校の本当の原因は、親が聞いているものと違うかも。そんな時の親の対応は[不登校との付き合い方(6)] - Benesse 教育情報サイト

子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、そこにはさまざまな原因があります。もしかしたら、子どもが保護者に話している原因の奥に、もう一歩深い原因があるかもしれません。なぜ、子どもは学校に行きたくないほんとうの理由を話したがらないのでしょうか。「不登校新聞」編集長の石井志昂さんに聞きました。

この記事のポイント

不登校の原因は、子ども本人と先生とでギャップがある

今、小中学校で不登校の児童・生徒の数は、文部科学省が発表しているデータによれば、18万人以上にのぼります。

ただ、不登校の原因については、誰もが納得できる統計というものはまだ存在しません。原因の調査については、2つのデータがあります。子どもたち本人に聞いたデータと、学校の先生に聞いたデータですが、そこにはギャップがあります。

たとえば、不登校の原因として「先生との関係」で不登校になった人がいるかを先生に聞くと、その数は全体の3%程度しかいません一方で、子どもに聞いたデータでは、約1/4という数字が上がっている、という具合です。不登校の子ども本人が納得できる統計ではない、ということなのです。

本人に聞いた不登校の原因のデータによれば、いじめを含む人間関係が約半数。さらに、「勉強が分からない」が1/3、「生活リズムの乱れ」が1/3、「先生との関係」が1/4。これらの回答は複数回答で、原因が重複している場合がほとんどです。

<不登校のきっかけ>

「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」不登校生徒に関する追跡調査研究会 平成26年7月
2 不登校のきっかけ・休みはじめた学年・時期 より 抜粋

不登校は、多様な原因が重複して起こっている

注意が必要なのは、勉強がわからない、朝起きられないといった原因は、結果論だとも考えられることです。いじめを受けていて、不安なので夜眠れないし朝起きられない、不安だから勉強が頭に入らないのです。私自身も不登校になったとき、どんどん成績が落ちていきました。本人にしたら、勉強どころじゃない、ということです。原因は必ず複数重なり合っていて、一つだけが原因ではありません。

一方で、小学校低学年の場合は少し違います。もちろんいじめもありますが、母子分離不安が主な原因の一つだからです。学校がいやだというよりも、お母さんと離れること自体に、強烈な不安を感じているのです。こういう時期はどの子どもにもありますが、たまたまそれが就学期に当たったということなのかもしれません。

そして、生理的に学校がつらいというHSC(Highly Sensitive Child/感覚が敏感で繊細な気質をもつ子どもたち)もいます。学校は、大きな音がするし、いろいろなにおいがこもっている場所で、こうした子どもにとってはかなり苦しい場です。生理的に学校にいることが苦痛で、とても疲れてしまうというケースもあります。

また、大人は、「スマホやゲームに没頭しているから学校に行けない」ということもあるのではと思うかもしれませんが、それはほぼありません。病的なゲーム依存の子どももいないわけではないけれど、それはごく一部です。

いずれにしても、学校に行けない理由は一つではないし、複雑に絡み合っています。

子どもが話せない、学校に行けない原因を察してあげたい

「なぜ学校に行かないの?」というのは答えるのが苦しい質問です。言葉にならない理由が複数あり、それらが複雑に絡み合っているから、答えるのが苦しいのです。

たとえば、スマホやゲームがしたいから学校に行けない、と言った場合、それは親を心配させたくないからかもしれません。深刻ないじめがあったんだと言えば、お母さんを悲しませるかもしれないし、自分でも情けないという気持ちになってしまいます。それで、ほんとうのことを子どもは言えないでいるのです。

つらい経験を話すと、そのときのことがまざまざと思い出されて、フラッシュバックが起こることがあります。本人は忘れたいと思っているのに、聞かれて答えることで、また忘れられなくなってしまうのです。

だからといって、本心を語りたくないわけではありません。信頼している人や親に聞いてほしいと思う時期が、いつかやってきます。

不登校の原因については、本人から詳しく聞き出さなくても、状況や背景を考えてあげることで、こういうことで悩んでいるんだろうな、ということはわかると思うのです。本人の言葉の奥にある、学校に行けない理由について考えてあげてほしいと、私は思っています。

まとめ & 実践 TIPS

子どもが学校に行けない理由で特に多いのは、いじめの問題。ほかにも、さまざまな原因が重複していることが多いそうです。ただ、保護者に話している「学校に行けない理由」の先に、保護者に今は話したくないと思って言わないことが隠れているようです。そこを無理に言わせるのではなく、状況から察してあげることが大事なことでしょう。

出典:
「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」不登校生徒に関する追跡調査研究会 平成26年7月
https://ift.tt/33qlRs9

令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和2年10月発表)
https://ift.tt/3fJduNb

参照:
ひといちばい敏感でとても共感性の高い子どもをあらわすHSCとは? 感覚が敏感すぎる子のサポートはどうする?
https://benesse.jp/kosodate/202001/20200114-1.html

我が子が敏感気質を持ったHSCだったら。気質を活かした育て方とは?
https://benesse.jp/kosodate/202001/20200115-1.html

プロフィール

石井志昂

石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」に入会。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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November 28, 2020 at 02:35PM
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