内部破壊・腐食ダメージに徹甲弾。狭い道を使い数量差をくつがえす采配。障害物や壁を破壊しての最短経路。クリティカル率+100%や毎ターンHP回復といったパーツ性能。それらタクティカルバトルの宝物が、CRTディスプレイの向こう側に山積みしてある。本物を求めるストラテジーゲーマーは『Mainframe Defenders』を決して見逃してはならない。
トレーラーのとおり第一印象は客を選ぶ。80年代ワークステーションを模したビジュアルとシンセサイザーミュージックのいぶし銀だ。OS立ち上げ画面の1枚で終わるプロローグに、黎明期のGUIを模したゲーム画面。それらがけれん味1%未満のユーザエクスペリエンス(以下、UX)―― 電子ドラッグめいたトリップ感を約束する。前世紀から戦い続けるストラテジーファンならば、2020年ベストゲームのリストに本作を書き加えると請け負おう。
攻撃命中率100%のダメージレース
ジャンルはタクティカルバトルのハクスラである。戦闘パートは敵の全滅を目指す。手番交代ターン制で4体の戦闘メカを操作し、群れで迫る敵メカを撃破しよう。ミッションクリア後はパーツの装備、メカのアップグレードで部隊を強化する。全16ミッション、最終面の総力戦でメインフレームを守りきればゲームクリアだ。
戦闘ルールはシンプルでなじみやすい。四角マス。高低差なし。武器は直線射撃。マップ・敵の探知もセンサーが壁を透過する。そして攻撃命中率は100%だ。しゃがみ姿勢やカバーアクションはなく祈りは通じない。やられる前にやるダメージレースを「撃ち」勝とう。
このシンプルさが多彩な武器タイプを引き立てた。毎ターンダメージや装甲無視ダメージなど、4種類のダメージで多角的に攻め立てよう。装甲破壊や移動阻害といったデバフ、単発・バースト式、貫通・範囲攻撃がダメージ種類に加わり、武器タイプは数多い。ルールがシンプルな分、ダメージの与え方・防ぎ方にこだわるのが本作の勝ち方である。
つまりビッグガン&ヘビーアーマーだ。戦闘メカの4スロットにパーツを取り付けて強化しよう。パーツは武器と性能アップの2種類あり、自由に取り付けできる。性能アップパーツは装甲のほかに2回移動、バースト発射数、クリティカル率など、これまた数多い。カスタマイズは戦い方と直結し、戦術の愉悦を生みだしていく。
パーツはミッションのクリア報酬で入手する。ミッション難度が高いほどクリア報酬が多い。また、ショップの品ぞろえは戦闘後でリロールし、ランダムドロップのように機能する。それらパーツは3段階のレアリティがあり、高レアリティほど高性能で入手が難しい。以上で最強メカをつくるハクスラが始まるのだ。その行程をテンポアップした手法が面白い。レトロ調という建前で戦闘中の演出を省略した。
チープな見栄えでありがとう
『Mainframe Defenders』のレトロ調はストーリーで理由づけしてある。コンピューターウイルスで暴走したメカからメインフレームを守るため、CRTディスプレイの戦闘システム越しに4体のメカを操作する、というあらすじだ。
レトロ調が戦闘システムの古さを直喩し、遠隔操作ゆえ戦場の描写はない。メカに命令し結果を受け取る、プレイヤーとユーザインタフェース(以下、UI)の関係をもって、戦場からストラテジーに必要なものだけを選び抜いた。
ひとつは選択の結果である。演出は「なにがどうした」が分かる程度で、着弾や破壊を含め1秒未満で完了する。攻撃は100%命中ゆえハラハラドキドキ演出を省略できるのだ。敵数やフロアの広さ、武器タイプといった、タクティカルバトルの要素を削ることなく時間短縮した。戦闘がすぐ終わり、報酬もすぐ手に入り、カスタマイズがテンポ良く進む。
もうひとつは選択に要する情報である。画面半分が情報表示枠のレイアウトは、ワークソフトを想起する。特にマウスオーバー時の情報表示が秀逸だ。ユニットのアイコンなら移動範囲と概要を、パーツやデバフのアイコンならステータスと説明文を出す。プレイヤーがマウスを動かす意図を察しており、調べごとがはやい。これまた戦闘がすぐ終わる。以下同文。
こうしてレトロ調は懐古趣味を超えた機能と化す。結果出力と情報表示だけのUIで抽出したのは、ストラテジーゲームの醍醐味たる「悩ましい選択」だ。本作の核は戦闘とカスタマイズの繰り返しである。タクティカルバトルに時間がかかると、ハクスラのテンポが悪くなる。だから戦闘時間が短くなるよう演出を省略した。副作用のけれん味不足を、レトロ調という方便がうまくごまかしている。
そのレトロ調がプレイフィールを損ねていないのは特筆に値する。上のスクリーンショットとおり、画面右の小ウインドウに表示したパーツ説明文は必要十分を満たしている。重要項目の色分けで視認しやすい。Internal Damageといった用語にも括弧内で注釈してある。UIの機能性が高いから、見栄えのチープさに不快を感じず、アートワークだと納得できるのだ。ビジュアルとストーリーで理由づけした演出の省略は、レトロ調を本作のプレイ体験に欠かせない要素へ昇華した。
UIの触り心地がUXを生む
『Mainframe Defenders』はUIがUXをつくる好例だ。シンプルな戦闘ルールと多彩な武器タイプが織りなす、タクティカルバトルとハクスラの融合。これを至上のトリップ感に高めたのが、戦場を確認できず結果だけを受け取る遠隔操作、という背景である。
カスタマイズと戦い方の創造を繰り返すUXのために、戦闘演出を廃する建前として、レトロ調を採用したのがすばらしい。見た目はレトロで中身はモダン。チープさにもこだわったディープなストラテジーだ。本物を求めるストラテジーファンは今すぐDEMO版を試されたし。
ヤリコミ要素もたっぷりあるので、DEMO版が気に入ったら購入してほしい。ゲームオーバー・ゲームクリア時のスコアで、新しい戦闘メカやパーツをアンロックする。パーツは152種あり、内1/3を占めるアンロックパーツはクセが強い。ゲームクリア後もメカカスタマイズの興奮はつづくので安心してほしい。
周回クリアで進展する、きな臭いストーリーも興味をそそる。抵抗勢力のハッキング、ウォーマシンの開発。スターゲイザー計画。これらストーリーをゲームクリア後に明かす構成は、開発者の自信の表れといえよう。
シンプルなルール、多彩な武器タイプ、そして忠実な部隊があれば、タクティカルバトルは楽しいのだ。そしてレトロ調の「昔は良かった」を生かし、ハクスラで大切なテンポ良さを満たした。『Mainframe Defenders』の中毒性は最上級称号「電子ドラッグ」である。
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March 28, 2020 at 09:09PM
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『Mainframe Defenders』プレビュー 本当の「昔は良かった」レトロ調タクティカル・メカバトル - IGN JAPAN
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