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Wednesday, May 31, 2023

共同発表:クライオ電顕により電荷、水素原子、化学結合を可視化~たんぱく質の詳細な化学特性の理解から、創薬への貢献に期待~ - jst.go.jp

理化学研究所(理研) 放射光科学研究センター 利用システム開発研究部門 SACLAビームライン基盤グループ イメージング開発チームの眞木 さおり 研究員、利用技術開拓研究部門 生体機構研究グループの川上 恵典 研究員、米倉 功治 グループディレクター(東北大学 多元物質科学研究所 教授)、高場 圭章 基礎科学特別研究員、濵口 祐 研究員(研究当時)の研究チームは、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析から、たんぱく質中のほとんどの水素原子の可視化と、電荷・化学結合に関わる情報の取得に成功しました。

本研究成果は、生理的な環境に近い水溶液中のたんぱく質の機能を決定する詳細な構造特性が観察可能なことを示すもので、今後、たんぱく質の化学的性質・機能の理解を深め、生命科学や医学、創薬に貢献すると期待できます。

たんぱく質中の水素原子、電荷、化学結合の極性は、構造の安定化に重要な役割を果たすとともに、酵素触媒作用、エネルギー伝達、基質や薬剤との結合など、さまざまな機能と性質に大きな影響を及ぼします。

今回、研究チームはアポフェリチンというたんぱく質の溶液を凍結し、高性能クライオ電子顕微鏡を用いて撮影した分子像から、このたんぱく質の詳細な構造を高い空間分解能で明らかにしました。最も軽い原子である水素原子からの信号は弱く、可視化が難しいことが知られていますが、解析を工夫した結果、たんぱく質の安定部位にあるほぼ全ての水素原子と、負に帯電したアミノ酸の電荷を可視化することに成功しました。また、得られた構造は、水素原子の結合距離からその化学結合の種類を判別できる精度を持つことも示しました。

本研究は、オンライン科学雑誌「Communications Chemistry」(現地時間2023年5月31日付)に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 未来社会創造事業 探索加速型「微小結晶構造の自動・高精度電子線解析(研究代表者:米倉 功治、JPMJMI20G5)」、日本医療研究開発機構(AMED) 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)「高分解能単粒子解析、電子線結晶構造解析及びAI測定の高度化と支援(研究代表者:米倉 功治、JP22ama121006)」、日本医療研究開発機構(AMED) 医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)などの助成を受けて行われました。

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