Google は10日、年次開発者会議「Google I/O 2023」で、新たなジェネレーティブ AI モダリティへのアクセスやカスタムモデルの使用・調整方法の拡大を可能にする、さまざまな新製品・新機能を発表した。
新しい製品の中には、Google Cloud のエンドツーエンドの機械学習プラットフォーム「Vertex AI」で利用可能な3つの新しい基礎モデルが含まれている。これらのモデルは、コード補完、生成、チャットで開発者を支援できるテキストからコードへのモデル「Codey」、あらゆるビジネスニーズに対応した高品質の画像を生成・編集できるテキストから画像へのモデル「Imagen」、組織が母国語で顧客や構成員とより包括的に関わるのを支援できる音声からテキストへのモデル「Chirp」だ。
ジェネレーティブ AI のための新しいツール
Google は、3つの新しい基礎モデル、Embeddings API、および独自のチューニング機能を含む新しい製品を提供することで、開発者やデータサイエンティストに、ジェネレーティブ AI アプリケーションをより迅速に構築するための機能を提供することを目的としている。
10日発表された新しい基盤モデルの第一弾 Codey は、リアルタイムのコード補完とコード生成を提供することで、ソフトウェア開発を加速させることを目的としている。おそらく最も優れているのは、ユーザ自身のコードベースに合わせてカスタマイズできることだろう。このモデルは20以上のコーディング言語をサポートし、さまざまなコーディング作業を効率化することができる。また、デバッグやドキュメンテーションを支援するコードチャットを提供することで、開発者が製品をより速く出荷できるよう支援する。
2つ目の基盤モデル Imagen は、様々なユースケースに対応する高品質な画像の生成と編集を支援する。このテキストから画像への変換モデルは、大規模な画像の作成と編集を簡素化し、低レイテンシーとエンタープライズグレードのデータガバナンス機能を提供する。
10日発表された最もエキサイティングな機能の1つであるマスクフリー編集では、ユーザは自然言語処理によって生成された画像に変更を加えることができる。つまり、完璧な写真を生成する方法について、ユーザインターフェースと会話し、出力を継続的に反復することができる。また、このモデルでは、画像のアップスケーリングや300以上の言語でのキャプション付けも可能だ。ユーザは制作に適した画像を素早く生成することができ、内蔵のコンテンツモデレーションが安全性を確保する。
3つ目の基盤モデル Chirp は、Speech-to-Text による顧客エンゲージメントの強化に重点を置いている。数百万時間に及ぶ音声をもとに学習した Chirp は、100以上の言語をサポートし、現在も言語や方言が追加されている。Chirp は、Google の20億パラメータの音声モデルの新バージョンで、英語では98％の精度を誇り、話者数が1,000万人未満の言語では相対的に最大300％の向上を実現している。
データから新たな関係性を見出す
新しい基盤モデルを補完するために、Googleはテキストと画像用 Ebmeddings API を導入し、Vertex AI でも利用できるようになった。この API は、テキストや画像データを意味的な関係をマッピングする多次元数値ベクトルに変換するもので、開発者はより魅力的なアプリやユーザ体験を作ることができるようになる。用途としては、強力なセマンティック検索やテキスト分類機能から、組織のデータに基づくQ&Aチャットボットまで、多岐にわたる。
Vertex AI のアップデートのもう一つの目玉機能は、人間のフィードバックによる強化学習（RLHF）で、Google は、Vertex AI がハイパースケーラの中で初めて RLHF をマネージドサービスとして提供するエンドツーエンドの機械学習プラットフォームとなったとしている。この機能により、企業は人間のフィードバックを取り入れて報酬モデルを訓練し、基礎モデルの微調整を行うことができるようになり、正確さと顧客満足度が重要な業界では特に有用だ。
Google の新しいジェネレーティブ AI の進化は、開発現場に革命をもたらし、開発者やデータサイエンティストにクラウドで AI を活用するためのますます洗練されたツールセットを提供することになる。これらの新しい基盤モデルとツールにより、イノベーションと責任ある AI 開発の可能性は、事実上無限大となる。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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