90歳になっても現役で踊り続けるチアリーダーがいます。老いと向き合い、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年ぶりとなった舞台に臨む姿を取材しました。
◇
今年3月、新型コロナの影響で3年ぶりに会場での開催となったチアの全国大会。若者たちの中で異彩を放っていたのが、平均年齢70歳のチアチーム、「ジャパンポンポン」です。
美しくそろったラインダンスやフォーメーションで、観客を沸かせます。中でもチームの最高齢、90歳の滝野文恵さんは、パワフルな演技と笑顔で年齢を感じさせません。ところが、ここまで、舞台に立てない苦しい3年間がありました。
滝野さんはアメリカにシニアのチアチームがあると知り、63歳で「ジャパンポンポン」を立ち上げました。
滝野さん「夢にも思ってなかったようなことができるんだったら、やってみたいなって。『もう年だから…』っていうのは言いたくない」
滝野さんたちは毎年、舞台に立ち続けてきました。しかし、新型コロナの影響で、この3年間は一度も観客の前に立つことができませんでした。
滝野さん「言うなれば下り坂で、登っていくことはできない。本当に…大事な1年を取られちゃった感じ」
◇
昨年12月。チームは3年ぶりに新人を迎えました。55歳から66歳の6人です。
新人メンバー・本郷さん(当時55)「今、実は母の介護をしていて、母が滝野さんと同い年です」
新人メンバー・徳田さん(63)「滝野さん目指して頑張りたいと思います!」
新人たちとともに、全国大会のゲスト出演に向けて、新曲に挑戦します。しかし、滝野さんにとっては、3年のブランクは大きなものでした。以前はできていたことが、できなくなっているのです。タイミングをずらして動く冒頭の演技。滝野さんは周りにつられて間違ってしまいます。
さらに…
滝野さん「素早さがついていけないっていうか。確実に、これは年のせいなんですよ」
そろえることにこだわってきたチーム。足を引っ張るわけにはいかないのです。
滝野さんは、家で工夫を重ねていました。スマートフォンで練習の動画を繰り返し見て、ズレを確認します。
滝野さん「ポンポンがズレているのは、これ(動画)で見ないとわからないです」
そして、苦手な箇所は繰り返し踊って、体に染み込ませます。
滝野さん「平均年齢70歳の人が70歳の踊りをやってるんじゃ、誰も感動しないでしょ。自分(の年齢)よりもっと上のものを一生懸命やるから、皆さん感動するんだし、私のために、ちょっとレベルを落としてやりましょう…って言うなら、私は辞めるべきだと思う」
◇
そして3月、全国大会本番の日。衣装を身につけ3年ぶりのステージへ向かいます。
滝野さん「頑張ります!」
何度も練習した冒頭の振り付けは――キレイにそろいました! テンポが早いところも周りとズレることなく、踊りきります。3年ぶりの舞台は、大きな拍手に包まれて幕を閉じました。
出場した高校生「正直、最初はびっくりしたんですけど、私たちも90歳になっても、もっと成長して頑張りたいと思いました」
滝野さん「今後の目標は11月のチャリティーショー目指してやるしかない。休んでいる暇ないよ!」
秋の舞台に向け、90歳の挑戦は続きます。
からの記事と詳細 ( 90歳現役チアリーダー 3年ぶりの舞台に挑む 平均年齢70歳チームが全国大会に - nkt-tv.co.jp )
https://ift.tt/mqVbkCS
科学&テクノロジー
No comments:
Post a Comment