
先の衆院選では自民党が絶対安定多数を確保し、ジェンダー平等の実現を掲げた野党が敗北しました。そのことから国民はジェンダー平等に無関心だったと結論づけるような報道も。しかし、ジェンダー問題を研究する大正大学准教授の田中俊之さんは「それは真っ赤なウソ」と指摘します──。 立憲民主党の執行役員会で発言する枝野幸男代表=2021年11月2日、東京・永田町の衆院議員会館 ■野党は政策のアピールに失敗した 先の衆院選では、野党の中に政策としてジェンダー平等を大きく掲げたところもありました。僕としてはこれを国民がどう判断するか注目していたのですが、結局はジェンダー平等を打ち出していなかった自民党の勝利に終わりました。 これを受けて、ニュースでは「ジェンダー平等は国民の間であまり争点にならなかった」などと言われました。しかし、僕は野党の打ち出し方が悪かっただけだと思っています。彼らは、ジェンダー平等を票につなげるためのアピール方法を間違えたのです。野党の政策ブレーンは何をしているのかとさえ思いました。 どこの国でも、国民のいちばんの関心事は経済と雇用です。これらにジェンダー平等がどう寄与するのか、一般の人にとってはなかなかわかりにくい。ですから野党は、ジェンダー平等の達成をもっと経済や雇用と関連づけてアピールすべきだったと思います。 例えば男女の賃金格差問題です。ほとんどの人が結婚し、夫の稼ぎだけで家族全員が暮らしていけた時代には、そうした格差は半ば容認されていました。女性は正社員でもほとんどの人が一般職で、男性総合職に比べて給与が低くても、それで生活に困る人はそう多くはなかったのです。
■「女性が結婚しなくても自立できる社会をつくります!」 しかし、時代は変わりました。今は結婚しないまま、一般職のままで50代を迎える女性も珍しくありません。近年では、そうした女性たちの老後の貧困問題が懸念されています。 「男性は総合職、女性は一般職」が当たり前だった時代に一般職として就職した、ただそれだけで長年働き続けても給与が低いままで、老後は生活費にすら事欠くようになってしまう。これは、同世代の正社員男性にはほぼ起こらない問題です。 これは女性差別にほかなりません。もし僕が野党だったら、「ジェンダー平等を達成します」ではなく「女性差別を解消します」と訴えます。女性が結婚しなくても経済的に自立できる、老後も一人で食べていける社会をつくると伝えるのです。 そうすれば女性は、男女の賃金格差は自分の将来に直結する問題なのだと捉えてくれるはずです。経済的に自立できている人でも、賃金格差をおかしいと思っている人、キャリア形成に男女差があると感じている人はたくさんいるでしょう。 ■“意識高い系”の言葉では響かない 思うに、野党が「ジェンダー平等」という言葉を使ったのは、これがSDGsの目標に入っているからではないでしょうか。SDGsに目を向けること自体はいいと思いますが、この言葉を使えば何か新しいことをやっているように見えるだろう、意識が高く見えるだろうと考えた可能性もあります。 でも、ここは泥臭く「女性差別」という言葉を使うべきだったのではと思います。そして賃金格差は女性を困らせる問題なのだと、はっきり伝えてほしかったですね。 それをきれいな言葉でまとめてしまったがために、マスコミに「ほら、国民はジェンダー問題に関心ないでしょ」などと言われることになってしまった。本当に残念です。 野党の女性候補の中には、ジェンダー平等に関連して、女性雇用の現状や男性が大黒柱とされてきたことの弊害などをきちんと訴えていた人もいました。ジェンダー問題のこうした基本的な視点を、野党の人たちが皆で共有していたら、結果は違ったものになったかもしれません。
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