
『マツコ会議』
マツコが「スゴい回になってしまった」と言うとおりの回だった。 ゲストは「カッコいいこともカッコ悪いことも両方やれる」「カッコつけているだけができない人たち。それがかわいらしさにつながっている」とマツコが評すCreepy Nuts。DJ松永は「誤解なく全部説明したい」、R-指定は「もともとの自分らの人間性を無視できない」と自己分析する。 話が一気に深まったのが、松永が「HIP HOPってどこまで広がるべきなんだろう」と疑問を投げかけてから。 日本でHIP HOPが広まってくれるのがうれしい反面、『フリースタイルダンジョン』で男性が女性に対して放ったディスがミソジニーだと炎上した件で、日本ではどうしても限界があると感じた。暴力的なことや倫理的にアウトな部分を許容する価値観が、日本人に合わないのではないかと。 それに対し「HIP HOPがこれ以上大きくならないというのは違う。それはなぜかというとテレビだからダメなの」と語った上で、テレビで瞬発的にプロパガンダをするにはよかったが、『フリースタイルダンジョン』が盛り上がったのは「スゴい瞬発力があって賢いよね」とか「即興でこんなにラップできてカッコいいよね」といった部分。 けれど「あれって変な話、本質は殺し合いなわけじゃん。でもその根っこにある部分はとりあえず置いといて流行らすってことをメインにした。それは悪いことじゃないんだけど、『そういうつもりでこの番組を応援してたわけじゃない』って人を結果的に大量に生んでしまった」と分析。 するといつの間にか松永の目には涙。「なんで泣いてるの?」と戸惑うマツコに「わかってくれすぎてうれしい……」と。マツコも「不意だったからあたしも涙出てきちゃった」と珍しく泣いてしまう。 HIP HOPに限らず、今いろんな表現が過渡期を迎えているとマツコは言う。「昔ってテレビは全部嘘だったのよ。演出がかまされたものがテレビだった。今ってリアリズムみたいなものが求められているなかで“本当のことを嘘っぽく言う”のがエンターテイメントなのよ」と言うマツコに同意し、「作り物なのに本物って言って出さないといけなくて、受け手は本物だと思って受け取るから、出る側は本当に消費される」と語る松永。 マツコは「世に出て人に触れてメジャーになったとたんに、そこに表現っていうのが存在しなくなるかもしれない」と、一度「崩壊」するしかないのではないかと言う。マツコ「でもね、伝わるものっていうのは全部熱量ですよ。熱量しか人に伝わらないのよ」。 そんな濃密な話をしているなか、予定時間を遥かにオーバーしたのかトイレに立つR-指定がいかにもな感じでよかった。 「テレビ向きではない人間なので相当苦しんだ。それをテレビの人たちがテレビに合うように世の中に出してくれたからあたしは売れた。その部分は感謝してるし恩返しをするために仕事としてやっているけど、それが自分の本質的なものとは未だに思ってないから」と言うマツコは「どのタイミングで身を引こうかなってずーっと考えてる。本当に大事な魂まで売り出したら、あたしは死ぬまでテレビにすがって哀れな姿を晒しつづけなければならない」と。 涙腺が崩壊して、事あるごとに涙を流す松永。今週はそんな姿をよく観る。マツコ「自分もけっこう追い詰められているからあの涙はツラい……。絶望と希望が入り混じった涙ですよ」。 良識や倫理観を持ったまま、それに反した表現を享受することは本来できるはずだけど、その矛盾を許せなくなりつつある社会の状況で、本質を伝えることは難しい。 けれどマツコが言うとおり「熱量」は伝わる。その熱量を体現したCreepy Nutsのような存在に、微かな希望も感じる対話だった。
からの記事と詳細 ( マツコ、Creepy Nutsの熱量に涙。「今は“本当のことを嘘っぽく言う”のがエンタメ」とテレビの過渡期を語る(11月13日のテレビ)(QJWeb クイック・ジャパン ウェブ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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