【勝者のワザ】 東京オリンピック男子ゴルフは、ザンダー・シャウフェレが逃げ切りで金メダルを獲得した。しなやかなスイングから正確なショットを打ち出すのが、シャウフェレの特長であるといえる。全英オープンを制したコリン・モリカワと同タイプのスイングで、ＵＳＰＧＡツアーの若い選手に多く見られるタイプではある。 トップから切り返し、ダウンスイングに時間をかけてエネルギーを蓄え、インパクトからフォロースルーへと解放していく。けして直線的にパワーを放出するのではなく、全身を使って体をうねらせ、腕、シャフト、クラブヘッドへと滑らかにエネルギーを伝えていく。ダウンスイングからフォロースルーへ時間をかけたしなやかで無理、無駄のない動きに見える理由は、そこにある。 バックスイングは、どこから動きはじめるのか。答えは、足首。ここを自分から見て時計回りに捩ることで、ヒップターンを促す。そして、ヒップターンが腹腔の捻じれにつながり、胸郭のターンから左肩のターン、さらに右肩のターンによって右肩甲骨の収縮（背骨に寄る動き）へと続いて、トップスイングができあがる。 ダウンスイングでは、左足首を反時計回りに捩りながら踏み込み、左腰をリードして、その左腰ターンが左胸郭のターンを促す。この段階で左前腕部が反時計回りに捩り戻され、シャフトをとおしてクラブフェースがスクエアに戻される。さらにフェース面は、フォロースルーまで閉じる側に動き続ける。 胸郭のターンに左腕が引っ張られ、その次に右腕が伸びてリリースが完了する。 小さな動きが、次の小さな動きを呼び、フィニッシュまでその連鎖が続く。これこそが、全身を使ったスイングの真実である。 全身運動としてのスイングの入り口としては、「無限大∞」素振りを勧めたい。∞の字をハーフスイングでクラブヘッドに描かせるようにしよう。フットワーク、ヒップターン、胸郭ターンを使って体をうねらせるという動きも体感できる。その中には、シャローイング、左手の掌屈、右手の背屈といった最新スイング理論にのっとった動きも含まれてくる。全身を使ったしなやかなスイングを身につけたい人は、∞字を描くハーフスイングから始めよう。 ■ザンダー・シャウフェレ（Ｘａｎｄｅｒ Ｓｃｈａｕｆｆｅｌｅ） １９９３年１０月２５日生まれ、２７歳。米カリフォルニア州サンディエゴ出身。２０１５年にプロ転向し、米ツアー通算４勝。１７年にプレーオフ最終戦の「ツアー選手権」など２勝を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・イヤー。「マスターズ」で１９年２位、２１年３位。世界ランキング５位。１７８センチ、７５キロ。
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