麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、次回放送の「このマンガがすごい!芸人楽屋編」を、放送に先駆けて紹介していきます。
『チ。』『怪獣8号』『望郷太郎』…川島のノミネート10作品
川島 今回のテーマはこちら、「このマンガがすごい! 芸人楽屋編」。「このマンガがすごい!」と言えば、我々は知ってるし、みなさんも見たことありますよね。宝島社さんが毎年発表している「このマンガがすごい!」とのコラボ企画をやろうではないか、という企画です。ここに載ったマンガ、間違いなくブレイクしてますからね。
山内 間違いないですね。
川島 僕らもこれを参考にして書店に行かせてもらうくらい、もうバイブルですよ。これを本編としたら、我々がスピンオフとして「芸人の楽屋で『このマンガがすごい!』と言ってるマンガを勝手に発表しようと。楽屋でジワーッと広がっている、本当にリアルな作品を紹介しようと思います。
山内 芸人のマンガセンサーはけっこう早いですからね。
川島 移動や待ち時間が多いから、みんなよくマンガ読んでるんです。連載1話目で「これたぶんハネるわ」みたいな話も出るしね。で、僕が10作品、山内くんも10作品候補を挙げて、その20作品から「このマンガがすごい!芸人楽屋編」のベストテンを独断で決めよう、ということでございます。ということで、僕がプレゼンする10作品はこちらです。
魚豊『チ。―地球の運動について―』(小学館)
松本直也『怪獣8号』(集英社)
山田芳裕『望郷太郎』(講談社)
芥見下々 『呪術廻戦』(集英社)
藤本タツキ 『チェンソーマン』(集英社)
小西幹久 『リィンカーネーションの花弁』(マッグガーデン)
花沢健吾『アンダーニンジャ』(講談社)
八月美咲『私の夫は冷凍庫に眠っている』(小学館)
遠藤達哉『SPY×FAMILY』スパイファミリー(集英社)
たーし『ドンケツ』(少年画報社)
ライス・田所の推薦『怪獣8号』
川島 メジャーどころも、もちろん入れております。飛ぶ鳥を落とす勢いなのが『怪獣8号』。これ、ロケバスの中で教えてもらったんです。あの!ライスの田所さんに。
山内 いや、「あの」はつけなくていいです。
川島 どうして? (キングオブコントの)チャンピオンじゃないですか! で、あの田所さんがロケバスの中で、あまり会話してないのに突然「川島さん、『怪獣8号』知ってますか?」と言ってきたんです。「まだ4話目なんですけど、めちゃくちゃ面白いです」ということで。まだそのときは1巻が出てなかったんで、「出たら買うわ」と返事したんだけど、1巻出て読んでみたら面白かったという。田所にすすめられたときは、こんなにブレイクするとは思いませんでしたよ。
山内 アニメ化のオファーがとんでもない数来てるという噂も聞きますよ。
川島 それはそうでしょうね。僕、『怪獣8号』が好きというだけで、仕事が3本くらい決まったんですよ(笑)。『怪獣8号』のバーターみたいになってる。
山内 でも田所には来ないんですね。
川島 そこなんですよ! 「田所はどうですか?」と言ったら、「まあ1回、川島さんで……」と言われてそれっきり(笑)。
ケンドーコバヤシの推薦『呪術廻戦』
川島 ジャンプで言うと、『呪術廻戦』も芸人の間で自然発生的に話題になってましたね。特にケンコバさんは早かった。
山内 僕、自分で言うのもあれですけど、まだ誰も『呪術廻戦』のことを言ってないときに、YouTubeに一人で『呪術廻戦』を語る動画を出したんです。
川島 え、そうなんだ!
山内 当時は全く再生されなくて、最近になってその動画がちょっと伸びてるという。コバさんとはお互いマンガの好みが全然合わなかったんですけど……。
川島 「山内のチョイスは最低やからな」って、いろんな楽屋で言ってるから。
山内 そのコバさんと唯一意見が一致したのが『呪術廻戦』なんです。
川島 あと『SPY×FAMILY』、これももう有名ですね。『チェンソーマン』は、珍しく楽屋で賛否両論になったんですよ。ここに挙げたのはみんな手放しで喜んでる作品ばかりなんですけど、『チェンソーマン』だけは「おもろい」という人と、「みんなが言うほどおもろいか?」という人で絶対議論になる。
山内 僕、最初ちょっと読んでやめたんですよ。読んだ瞬間に「絵のタッチが好み違うかな」みたいに判断してしまうときってあるじゃないですか。そこから読んでなかったんですけど、あの『キングダム』の原先生が「『チェンソーマン』面白いよね」と言ってて。それで読み直したら「おもろ!」となって、読み出したんです。
川島 賛否両論の感じがちょっと『エヴァンゲリオン』に似てますよね。楽屋で東軍西軍に分かれてバトルするくらいの。いいスパイスのマンガです。
ムーディ勝山の推薦『望郷太郎』
川島 次は『望郷太郎』です。知ってます? 1巻表紙史上、1番渋い表紙です。刑務所から出てきたんちゃうかという。
山内 僕、最初に見たとき「ゴルフマンガかな?」と思いました。
川島 いろんなサバイバルの要素があったり、近未来の要素があったり、ちょっと忌まわしい儀式なんかもあって、詳しくは読んでいただきたいんだけど、これを教えてくれたのが、あのムーディ勝山さんなんです。
山内 ムーディさんも詳しいんですよね。
川島 言われてみると表紙に若干のムーディ感がありますが(笑)。ムーディは本当にマンガが好きだし、やっぱり我々にはない一番の武器である「時間」が大量にある。地方のレギュラーは移動も多いし、マンガのコラムもたくさんやっているので、いろいろ読んでるんですよ。実は僕に『キングダム』を最初に教えてくれたのムーディなんです。これはなかなか言い出せなかったけど、『定額制夫のこづかい万歳』もムーディ勝山からです。やっぱりムーディーのおすすめするマンガはハズレがない。ハズレがない中で、今季は『望郷太郎』が抜けて面白いという。大人のおじさんが読むにもピッタリじゃないでしょうか。
風間俊介の推薦『リィンカーネーションの花弁』、バカリズムの推薦『アンダーニンジャ』
川島 次は『リィンカーネーションの花弁』。これは楽屋は楽屋でも、芸人さんじゃなくて、ジャニーズ事務所の風間(俊介)さんなんですよ。風間さんがよく楽屋に遊びにきてくださって、マンガの意見交換をよくするんです。それで『リィンカーネーションの花弁』を教えてくれたので、僕は『葬送のフリーレン』を教えたという。ちょっと異世界転生の要素もあるようなマンガです。
山内 僕もこれ、川島さんに聞いて読みました。面白いです。
川島 『アンダーニンジャ』は「アメトーーク!」に出させてもらったときに、バカリズムさんが激推ししてて。同じ花沢先生の『アイアムアヒーロー』も『たかが黄昏れ』も大好きなんですけど、それまで『アンダーニンジャ』は読んでなかったんです。『たかが黄昏れ』の1巻の途中でこっちの連載が始まってるから(そして『たかが黄昏れ』の連載が止まった)、僕にとっては浮気相手なので。それで一歩を踏み出せなかったんですけど、「バカリズムさんが言うんだったら」と思って。それで読んでみたら面白かった。
山内 『アンダーニンジャ』、ストーリーが焦ってないんですよ。しっかり進めてる感じがする。駆け足で行ってる感じがなくて、しっかりしてるなあと思いながら、めっちゃ読んでます。もう完結まで全部考えてるのかな、というくらいしっかりしてる。
川島 ベテランの間ですよね。師匠の間。あまりにも早すぎて残像が残らないっていう描写もすごい。
本仮屋ユイカの推薦『私の夫は冷凍庫に眠っている』
川島 これ知ってます? 『私の夫は冷凍庫に眠っている』。
山内 読んでないです。
川島 これはもともと小説で話題になった作品なんです。主人公の女性が同居の男性からずっとDVを受けてて、我慢しきれなくて殺しちゃうんです。でも次の日、その男が普通に「おはよう」と挨拶してくる。「え、私が殺して冷凍庫に入れた夫は? これどういうこと?」という、サスペンス的なマンガです。今年の4月から実写ドラマ化もされました。ドラマで主人公を演じているのが本仮屋ユイカさんなんです。僕、誰にも言ってないんですけど、本仮屋ユイカが異常に好きなんです。異常に。人生で写真集って買ったことなかったんですけど、本仮屋ユイカさんのだけ持ってるんです。
山内 怖っ(笑)。
川島 奥さんにも全く言ってないです。写真集を買うときも、Amazonで買ったら奥さんにバレるからちゃんと本屋さんに行って、現金で買いました。そのドラマの1話を見てめちゃくちゃ面白かったから、逆にマンガ(小説のコミカライズ)を買ったというパターンです。
山内 全2巻で完結してるのも、読みやすくていいですね。
川島の追加候補『マイデリケートゾーン』
川島 追加で1個だけ書いていい? これはどう? 『マイデリケートゾーン』。
岩崎う大『マイデリケートゾーン』(小学館クリエイティブ)
山内 かもめんたるの岩崎う大さんのマンガですね。
川島 う大くんが描いたんだけど、ホンマにこれも賛否両論の名作と言われてるんです。これはう大くんが描いたから紹介しようと思ったんじゃなくて、まずネットでこのマンガが話題になったんですよ。それを読んだら、めちゃくちゃおもろいし、めちゃくちゃ不気味やし、不愉快なんだけどやめられないという中毒性のあるマンガだったんですけど、作者を確かめたら、かもめんたるのう大くんだったという。だから普通にファンとして紹介させてもらいます。
山内 僕も、う大さんにいただいて読ませていただきました。これは読んでおかないと。
川島 どの話も「世にも奇妙な物語」で実写化していけるな、というレベル。読んでてすっごい嫌な描写が多いけど、止まらないんですよ。足の爪の匂いを嗅いでるような中毒性があります。どんな話かと言われても、説明しにくいんですよね。ダッチワイフとの別れとか、そういう話が描いてあるんですけど、でも読んでみて「これ、下ネタやん」と思わないと思う。そんなあさはかな感じじゃない。本当に人間というものの面白さが出てる。ということで、私の選んだ11作品でした。
『JUMBO MAX』『フールナイト』『ヨリシロトランク』…山内のノミネート10作品
山内 僕が調べてきた10作品はこちらです。
みずたまこと『バウンサー』(秋田書店)
原作:山川直輝/漫画:朝基まさし 『マイホームヒーロー』(講談社)
平野耕太『ドリフターズ』(少年画報社)
原作:福本伸行/作画:かわぐちかいじ 『告白~コンフェッション~』(講談社)
原作:井龍一/漫画:伊藤翔太『親愛なる僕へ殺意をこめて』(講談社)
花沢健吾『アンダーニンジャ』(講談社)
髙橋ツトム『JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~』(小学館)
安田佳澄『フールナイト』(小学館)
永田晃一『鬼門街』(少年画報社)
原作:鬼頭莫宏/漫画:カエデミノル 『ヨリシロトランク』(講談社)
東野幸治の推薦『アンダーニンジャ』、和牛・水田の推薦『告白~コンフェッション~』
山内 僕は有名どころのマンガよりも、芸人の中でじわっと話してたマンガを中心にチョイスしました。しかもその教えてくれた芸人がメジャーじゃない芸人ばっかりです(笑)。この中でも『アンダーニンジャ』は有名どころなんですけど、これは東野さんがツイッターで「今から『アンダーニンジャ』読みます」とつぶやかれてたのがきっかけなんです。「(マンガのおすすめを書くなんて)珍しいな。どんなマンガなんだろう」と思って読み始めました。そこから僕も何人かにおすすめしましたね。
川島 僕と山内くんのノミネート作で、唯一かぶってるのが『アンダーニンジャ』ですね。
山内 次は『告白~コンフェッション~』。和牛の水田と移動することが多いんで、よくマンガの話をするんですよ。
川島 水田くん、ずっとiPadでマンガ読んでるよね。
山内 水田はもうマンガを買いまくってて。その中で僕があまり読まなそうなマンガでオススメがないか聞いたら、「『告白~コンフェッション~』読んだ? 福本先生原作やで」と言われて。僕はコントもするから、「コントでありそうな話やん」みたいなことで水田がすすめてきて。
川島 へえ、どんな話なんですか?
山内 ざっと説明すると、雪山で遭難して死にそうになった奴が、「死んだ友達の誰々、実は俺が殺したんだ」とカミングアウトするんですよ。で、そのまま死ぬかと思ってたのに、回復するんです(笑)。それでめっちゃ気まずくなる(笑)。設定としてめっちゃおもろいやん、という。そこからの話なんですよ。
川島 コントやね、ホンマに。
山内 めっちゃ気まずいのがおもしろくて。おもしろがるようなマンガじゃないんですけど、読みながら「この設定おもろいなー」と思いましたね。
川島 単独ライブの4本目で見てみたいね。
山内 許可もらえるなら本当にコントでやりたい。ちょっとコントと紙一重な感じがありますよね。笑いにも行けるし、シリアスにも行けるしという。ちなみに全1巻で完結してます。
川島 じゃあすぐ読もう。それにしても水田はずーっとマンガ読みながら歯磨いてるイメージあるな。
山内 歯、磨いてるなー(笑)。
川島 エアリズムの肌着でね。
山内 で、磨いた後にまたコーヒー飲んで(笑)。
藤崎マーケット・トキの推薦『バウンサー』、ビタミンS・お兄ちゃんの推薦『鬼門街』
山内 次は『バウンサー』。藤崎マーケットのトキちゃんと喋ってて、教えてもらったマンガです。で、そこからジャンポケの太田におすすめしたら「めちゃくちゃおもろい」と言ってました。『バウンサー』は格闘技系が好きな人にとっては、ハズレがないですね。トキも格闘技に詳しいんですけど。
川島 トキといえば、僕もトキも『こち亀』が死ぬほど好きで、『こち亀』がもうすぐ終わるというニュースが出たときに、泊まりで大阪に行ってトキと「『こち亀』終わるなあ」と話してたら、「兄さん、ちょっと時間ありますか」と言われて、あいつ家から50冊くらい『こち亀』持ってきたんですよ。「兄さん、これ読みながら飲みましょう」って(笑)。
山内 あれ、いいですよね。マンガを実際に手元に置きながら飲むと、今まで見えてこなかった面白い部分が見えてきて。
川島 自分が知らなかったところをプレゼンしてくれるのがすごく嬉しいよね。
山内 次は『鬼門街』。たーし先生のお友達でもある永田晃一先生の作品です。これはビタミンSのお兄ちゃんから教えてもらいました。お兄ちゃんと当たり前のように言いましたけど、そういう名前の芸人がいるんです。そのお兄ちゃんの弟が、マンガに詳しいんですよ。その弟もおすすめしてるというので読んだマンガです。内容は鬼にそれぞれ特殊な能力が備わっていて……という(ジョジョの)スタンドみたいな話ですね。まだそんなに知られてないので、みんなにすすめると「こんなマンガあったんだ!」と喜んでくれます。
クロスバー直撃・前野の推薦『JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~』『フールナイト』
山内 で、後は全部、クロスバー直撃の前野さんから聞いた作品です。
川島 比率多い。半分超えてますやん(笑)。
山内 前野さん、めちゃくちゃ詳しいんですよ。マンガの番組をやるんだったら、引っ張りだこにならないとおかしいくらいのレベル。ただ知名度が足りないだけで(笑)。
川島 あと本番に弱すぎるというのが(笑)。
山内 『JUMBO MAX』は髙橋ツトム先生のマンガなんですけど、EDの薬を作る話なんです。EDの薬を主人公が手にして、ものすごく効いてウワーッとなるんですけど、その薬がもう手に入らないとわかって、「じゃあ自分で作るぞ」という話なんです。すごい切り口じゃないですか?
川島 でもエロマンガじゃないんだよね。
山内 エロじゃないんです。EDの薬を自分で作るんですけど、作ったことで死者が出たり、効いた人から「また打ってくれ」という要望が出たり、そういう葛藤なんかが描かれるんです。『JUMBO MAX』というタイトルだけ見ても、最初はあまりピンと来ないじゃないですか。でも読んでいったら「EDという切り口があるんや。おもろ!」と思ったマンガです。
川島 このテーマ、気になるなあ。
山内 次が『フールナイト』、まだ1巻しか出てません。未来の世界では、すごく分厚い雲のせいで太陽の光が地球に降りそそがなくなってしまうんです。それで植物が光合成をしなくなって、酸素がなくなった時代の話です。そういう時代に、死にかけた人を植物にする技術が出来るんです。その植物というのは、光があまりなくても光合成して酸素を発生させてくれる。その技術を使って、死にかけた人がみんな植物になっていくんですよ。元気な人でも、がんのステージ4になったら、自分から「植物にしてください」と志願する人が出てくる。中には嘘の診断書を書いてもらって、「植物にしてください」という人まで現れるんです。
川島 なんでそんなに植物になりたがるの?
山内 なんでかというと、植物になると1,000万円が支払われるんです。植物に変わってしまうまでの間にその1,000万円で人生を遊んで終わろうとする人も出てくる。そういう世界の話なんです。
川島 ちょっとリアルですよね。
山内 主人公は植物に志願して、支援金を受け取って、後に植物なる体になった瞬間から、「植物になってしまった人と会話が出来る」という不思議な能力が芽生えるんです。それで「今後の人生どうしよう」と考えたりするという。
川島 でも主役の子はもう植物になる運命がもう決まってるんですよね?
山内 そうなんですよ。前野さんからすすめられて、新しい感じだなあと思ったマンガです。まだ1巻しか出てないので、すぐ追いつけます。
クロスバー直撃・前野の推薦『ヨリシロトランク』
山内 めっちゃおもしろかったのが、この『ヨリシロトランク』。
川島 表紙、めっちゃ可愛いらしいじゃない。
山内 これも前野さん大絶賛。娘を殺された人の話なんですけど、つらくて「なんやねんこの世界」となっているところに、「改変者」という謎の天使みたいなのが現れて、世の中のルールを変えるんです。そして「殺した人を殺せば、その殺された人が生き返る」という世の中に変わるんですよ。
川島 これはこれで残酷なシステムやなあ。
山内 つまり、お父さんが娘を殺した人を殺せば、娘が生き返るんです。でも、お父さんが誰かに殺されちゃったら、今度は自分が殺したその殺人者が生き返っちゃう。
川島 あ、そうか!
山内 自分が自殺するか自然死した場合は、そのルールが適用されないんです。娘を守るために、自分はそのまま生きた方がいいのか、それとも自殺してしまったほうがいいのか……という葛藤も生まれてくる。さらにそのルールが出来たことで、人権派の弁護士が「殺されたからってその犯人を殺すのはよくない」と言い出すんですけど、その人権派の弁護士の家族を殺す奴が現れるんです。「自分がやられても同じことを言えるのか」みたいなことを問いかけてくるという。
川島 そういうの、死刑問題でも議論されてることだから、もはやSFじゃないよね。
山内 考えさせられるし、改変者によって変わった世界の話もすごく面白くて。設定的にもめちゃくちゃ面白い。
川島 道徳や倫理に関わってくるお話ですね。それにしても、山内くんのおすすめをパッと見たときに、「知らない作品ばかりだな」と思ったけど、それは俺が前野とあまり交流がないからなのかな(笑)。
山内 大阪の劇場の若手しかいない大きな楽屋で話題のマンガです。ルミネとかにまだ全然出てない若手の間で。
クロスバー直撃・前野の推薦『親愛なる僕へ殺意をこめて』『マイホームヒーロー』
山内 『親愛なる僕へ殺意をこめて』。これは川島さんもご存じですか?
川島 これも読んでないですね。
山内 朝起きると、主人公の記憶が数日間、飛んでたりするんですよ。それでどういうことが起こるかというと、知らない間に彼女が出来てたりする。彼女は親しげに話しかけてきて、こっちも話を合わせるんですけど、「知らないなあ」と思ってたり。あと、押し入れを開けたら、大量の現金と血まみれの耳たぶ入ってたりとか。どうやら自分の記憶が飛んでる間に自分が何かしてるみたいだ」という。その謎解きをしていって、自分が何者かを探していくマンガです。「映画化したら絶対に当たるのになあ」と思うくらい、おもしろい設定のマンガです。で。次は『マイホームヒーロー』。
川島 これはもう有名ですよね。
山内 娘が良くない輩と付き合ってるからお父さんが何とかしようするんだけど、その輩と口論になって殺しちゃう。で、自分の家を守るために、お父さんがどう行動するか……みたいな話です。これ、父親になってから読むと、「ちょっとわかるな」と思っちゃうんですよね。
川島 娘がいる親としては、そういう気持ちになりますよ。これ、1巻からガーっと動くよね。
山内 そう、スタートの速度がすごいし、そのスピードのまま進んでいきます。今はもうかなり話が転がって、すごい方向に行ってます。濱家もこのマンガめちゃめちゃ好きで、濱家も娘を溺愛してるんで、あいつは間違いなく殺すだろうなと(笑)。
川島 俺も娘がいるから、自分と重ね合わせて読めない時期もあったもんね。
山内 ぶっ飛んだ話に見えて、全然ありえる話だなという。以上、僕が調べてきた「このマンガがすごい!芸人楽屋編」でございました。
川島 このあと、2人で持ち寄った20作品の中から「このマンガがすごい!」本家にならって、ベストテンを決めたいと思います。
「このマンガがすごい! 芸人楽屋編」は、次回放送の『川島・山内のマンガ沼』でご覧下さい。
(構成:前田隆弘)
マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:6月19日(土)深1:33〜2:03、日本テレビ:6月24日(木)深2:04~2:34の放送(※一部地域を除く)です。
おたのしみに!
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