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Wednesday, January 20, 2021

火星は想像より厳しかった。NASAが2年頑張った掘削を諦める - GIZMODO JAPAN

「すべての力を注いで取り組みましたが…」

NASAは先日、火星探査機「InSight」における主要なミッションの一部であった通称「the mole」(火星の表面を深く掘り下げるためのデバイス)の使用を諦めたことを発表しました。ただし「幸いなことに、地下を掘り下げようとする将来のミッションに役立つであろうことを多く学びました」と述べています。そのうちのひとつは火星のレゴリス、すなわち埃っぽい表面の物質は予測通りにはいかないことでしょうか。

ドイツ航空宇宙センター(DLR)が「InSight」のミッションのために開発したのが、熱流量計の「HP3」(Heat Flow and Physical Properties Package)。これのセンサーである「the mole」は、深さ3メートルで火星の内部温度を読み取ることを目的としていました。この背景には、惑星の地質学や表面進化の要因となる内部プロセスを理解するのに役立てようとする考えがありました。そこで問題となったのが、全長40センチの「the mole」が数センチしか堀り進めることができなかったこと。

問題が明らかになったのは、2019年2月28日に「the mole」を配備した直後。デバイスが下向きの動きに必要な摩擦を得ることができなかったため、2年間で約2.5センチしか表面を削ることができず、さらに深く掘り進めることは叶わずじまいに...。NASAによればこの問題は「デュリクラスト」、つまり顆粒が付着するコンパクトなセメントのような混合物に起因するとのこと。

「InSight」のロボットアームを使用して穴の壁に「the mole」を固定したり、最終的には500回のハンマーストロークを実行するようにプログラムしたりとさまざまな工夫も行なわれましたが、それでもうまく行かなかったようです。

「これこそ、NASAがリスクを背負う理由でもあります。何が機能し、何が機能しないかを学ぶために、テクノロジーの限界を押し上げる必要があります」と語ったのは、NASA本部の科学担当副管理者であるThomas Zurbuchen氏。「そういう意味では、成功したといえそうです。火星や他の場所での将来的なミッションに役立つことを多く学びました。この機器を提供し協力してくれたDLRのドイツのパートナーに感謝します。」

「the mole」が引退した今、「InSight」から地震計にデータと電力を送信するテザーを埋めるなどの作業を早めることが可能となります。NASAは、地震信号に不要な音を発生させる温度変化を削減することを視野に入れています。現時点で、地震計は500近くの火星の地震を計測したことがわかっています。

「InSight」は最近、木星の周りの軌道にあるジュノー探査機とともにミッション延長を許可されたばかり。2022年12月まで火星の地震、天気を追跡し、火星のコアが固体状態か液体状態かを判断するための無線実験を実行することになっています。

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