
岸田文雄新政権が、成長だけでなく分配が大事という「新しい資本主義」を打ち出して、分配が話題になるかと思ったら、どうやら成長が話題になっているようだ。1990年以降、他の国の賃金が上がっているのに日本の賃金だけがほとんど上がっていない。事実を確認した上で、なぜ日本の賃金が上がっていないのか、どうすれば上がるのかを考えてみたい。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰) 【この記事の画像を見る】 ● 「日本の実質賃金が上がっていない」 という事実 図1のグラフは、OECDのデータから描かれた、主要国の実質賃金の推移である。 図1を見ると、確かに日本の賃金は上がっていない。1990年に比べて、2020年にはアメリカの実質賃金は48%、イギリスは44%、フランスは31%も上がっているのに、日本の賃金は4%しか上がっていない。ただし、イタリアは上がるどころか3%低下している。韓国の賃金は92%も上昇して、今や日本を追い越している。韓国はすでに日本に勝っているのである。
● 実質賃金のグラフは、 アメリカの所得格差のグラフと似ている? この図1から、次の図2 を思い出した。図2は、アメリカで所得の高い人の所得は上がっているが、所得の低い人の所得は上がっていないことを示している。どちらも、あるグループの所得は上がっているのに他のグループの所得は上がっていないということを示すので形が似ている。 ただし、世間に出回った図2は、所得の水準ではなく、全ての人々の所得に占める所得の高い人と低い人の所得のシェアの推移である。シェアであるから、所得の低い人の所得水準が上がっていてもシェアは下がってしまうことがある。シェアでなくて所得の絶対値で見れば、これほどひどいことにはなっていないが、所得の高い人の所得は上がっているが、所得の低い人の所得は上がっていないというのは同じである。 図1と図2から何が言えるだろうか。 図2のようになる理由は、現在のグローバル化した世界では、世界で通用する高度な技能を身に着けた人々の所得はいくらでも上がり、そうでない人の所得は全世界の所得の低い人々との競争圧力によって上がらないからだとされている。アメリカの仕事は、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル。あるいはマイクロソフトやネットフリックスを加えてGAFAM、FAANGとも。社名変更もあるのでビッグ・テックと呼んだほうが良いかもしれない)に代表される高度な技能を必要とする仕事と、「ラストベルト」の産業の仕事に分かれてしまい、二極化しているというのだ。 これを日本とアメリカに当てはめてみると、アメリカはGAFAの世界で、日本はラストベルトの世界ということになるのだろうか。もちろん、日本の製造業はラストベルトではないが、アメリカのGAFAには到底追いつけない。 すると、日本の賃金を上げるためには、日本もGAFAを生むしかないということになるのだろうか。しかし、どうやったら良いのか。補助金を付けて日本版GAFAを生むのだろうか。その補助金はどこからか持って来ないといけない。MMT(現代貨幣理論)で政府がいくら借金をしても大丈夫だと考えて、そこから持ってくるのだろうか。MMTでなければ、日本の既存産業に課税するしかない。しかし、そんなことをすれば、日本である程度成功している企業の足を引っ張ることになる。 図1をもう一度見てみよう。ドイツもイギリスもフランスも、GAFAに匹敵するような企業はないが、それでも賃金は上がっている。
からの記事と詳細 ( 「日本で賃金が上がらない」本当の理由、GAFAがなくても給料は上がる?(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3cxVch0
No comments:
Post a Comment